情報のバイアス

 緊急事態宣言が出て3週間余り、最近はさらに1か月程度延長
されることが確実のようだが、有効な対策をとれているようには
見えないので、やむを得ないとは思う。

 心配なのは、相変わらず司令塔が不在のように見えるので、
いつになったら目途がつくのかというのと経済的なダメージが大
きくならないかということである。

 

 政府にしても、東京都にしても、自分達に都合の悪い情報は、
なかなか出してこないので、どのような事が課題で、どのような
取り組みをして、いつまでに解決されるのか、解決が難しいのか
がさっぱりわからない。

 こういった事を追い求めていくのが、マスコミの役割だと思う
のだが、今のマスコミは、相手の発表を中継して、こう言って
いますとか、こうなるようですといったレベルで、記者クラブ
間に入って、質問者をコントロールしているため、情報はかなり
バイアスがかかっていると思った方がいい。

 国会の質疑にさえ、まともに答えないような人間に、判断の根拠
を求めても、政治判断としか言わないのだから、期待する方が
間違っているのかもしれないが。

 緊急事態を延長して、行動自粛、接触削減を求めるくらいのこと
は誰でも言えるので、実際の状況をわかりやすい言葉で、図表を
使い丁寧に説明するニューヨーク州知事の姿をCNNで見ていると、
何で我が国では、そういったことができないのかと思う。

 日本は、役所も政治家もレベルの低下がひどいと思う。原因は、
国民に対する情報の公開は、民主主義の基本という認識がないこと
で、情報の隠蔽や改ざんをしても罰則が緩いし、第三者による調査
やチェック機能が弱いことだと思う。

 我々が必要なのは、本来あるべき情報は、どういうものかを示し、
開示されている情報と不明な情報を公示していくことで、情報の
バイアスがあることを示していくことだろう。

 

例えば、

・現状の感染者数は、発表されているが、実際の検査数に対する
 陽性率がどうなのか。
・感染者のうち、入院している人数と退院している人数はわかるが
 自宅隔離とホテルなどに入っている人数の内訳はどうか。
・感染者のうち感染経路が不明な人間の年齢構成、性別、住所地など
 の内訳はどうか。
医療機関における重症者の収容キャパシティと医療従事者の人員
 態勢の充足度はどうか。
医療機関における従事者への検査態勢はどうなっているのか。抗体
 検査は実施しているのか。
医療機関における防護具の充足度はどうなのか。
・医療従事者の勤務状況はどうなっているのか。

・今後の見通しをどのように考えているのか。
・現状の施策の重点とその効果をどの程度にみているのか。
・経済的な影響をどのように把握しているのか。
・経済的な対策と効果をどのようにみているのか。

 私自身は、感染者数の多い県の医療態勢が崩壊しないという
確信が持てるならば、自粛をある程度緩和して、大規模感染の
阻止に重点を移していった方がいいと思っている。
 東京のように感染者が多く、医療態勢に懸念があるところは
そう簡単に緩和できないだろうが、感染地域からの人の移動に
制限がかけられれば、多くの県では緩和できると思っている。
そうしないと、経済がもたなくなってしまうのではないか。


 政府の支援に期待するのもわかるが、財政赤字の状況を踏ま
えれば、野放図な国債発行が許される筈はなく、そういった点
に言及することなく、全国民にマスクを配布したり、10万円を
給付するというのは、既に情報のバイアスがかかっていると
言えるのではないか。