経済優先か感染拡大抑止か?

 欧州各国では、新型コロナウイルスの感染者が低下してきたため、
営業の再開や移動制限の緩和に踏み切っているが、再拡大の懸念が
無くなったわけではない。
 アメリカ合衆国では、経済活動を再開した各州で、感染が再拡大
しており、今後の動向が注視される。ブラジルは、大統領の言動が
問題視されているが、経済活動と感染抑止とどちらを優先させるか
は、各国の事情を踏まえて判断するしかないかもしれない。

 我が国では、東京都での感染者が一定程度継続して発生している
ものの、経済活動をこれ以上止めることは好ましくないということか
逐次緩和してきている。
 当初は、専門家の意見を中心に、規制する方向でいたのか、東京
アラートといった指標も出していたが、結局、適当な理由を付けて
解除したように見える。
 元々、感染者数の多い少ないで一喜一憂しても仕方がないのは、
感染者の発生が1から2週間前の状況を反映していることと、無症状
の感染者が多いことから検査数を拡大させない限り感染者数は増えない
ためで、検査もしないで収束したと言っているのは滑稽でしかない。
 抗体検査の結果をどのように評価するかあるが、公表されている
感染者数の数倍は感染しているとすれば、潜在的な感染者が相当数
いるという前提で、規制緩和をするべきだと思うが、政府は経済活動
を優先させて、緩和に関する合理的な説明をしているとは思えない。
 おそらく、緩和をすれば、一定程度の規模で感染が再拡大するのは
他国の例を見ても、避けられないと思う。

 

 私自身は、医療崩壊が起こらないことと院内感染や施設内感染等に
よる大量感染と死亡者の発生が抑止できれば、ある一定程度の感染
リスクを取っていけばいいと思っているのだが、現状は緩和により
どの程度のリスクがあり、医療態勢の準備がどこまでできているのか
という公表がなされていない点に不安がある。

 専門家会議の提言は出ているが、提言を受け止めて、いつまでに
何をするのかということを対策本部で話し合っているようには見え
ないし、担当大臣などからは規制緩和や役に立ちそうもないアプリの
話しか出てこないので、本当に大丈夫かなと思ってしまう。

 国会も閉会したことであるし、体制も含めて全面的に見直しをして、
再スタートした方がいいのではないだろうか。