GO TO キャンペーンに見るお粗末さ

 政府の新型コロナウイルスに関連して、事業が低迷している
業種に対する景気刺激策としての「GO TO キャンペーン」が、
東京都の感染拡大に対応して、東京発着を対象外として実施
することに決まったようだが、果たしてそれが合理的な決定と
言えるのだろうか。

 

 私自身は、深刻な打撃を受けている観光業界や鉄道・航空業界
などは、要望が強いと思うので、何らかの支援策を実施する
ことは必要だと思うが、東京を対象から除外するだけで、感染の
拡大を止めることができると考えているのだろうかと思う。
 口では、コロナウイルスとの共存を言うものの、どのような
対応をすることで共存が可能だということを説明された記憶は
ないし、今回の対応で地方への感染拡大は招かないという明確な
説明があった訳ではない。
 東京だけで感染が拡大している訳ではないので、東京以外の県
で存在する感染者が、拡散を助長するという可能性があり、その
リスクは極めて低いといった明快な説明はない。

 一番懸念しているのは、仮にGOTOキャンペーンを利用した客が
発熱して感染が疑われるような場合に、それへの対応が十分に確保
されているかが疑わしいということである。
 一部の自治体の首長からは、懸念がある人は来ないでくれという
ことを言っているようだが、最初から症状がある人は行かないが
出掛けてから症状が出てきたり、無症状のままに感染を拡げる
可能性が排除できない以上、これへの明確な対応を政府は示す必要
があると思う。

 

 政治決断というと聞こえはいいが、その意思決定の透明性がない
決断は、決断というより政治的な思惑でしかなく、また、決断の
責任について問われても、明確に誰が責任を取るということでなく、
分科会のような組織に責任を転嫁することが、これまでも行われて
来たのだが、それを今もって続けているようでは、お粗末としか
言いようがないと思う。

 

 結局、実施主体と利用者にリスクを取らせるだけで、その後始末
は、予備費の支出で埋め合わせるということにならなけばいいがと
思う。