さつま芋への思い

今週のお題「いも」

 

 秋の味覚にはいろいろあるが、さつま芋は代表の1つだろう。昔は冬になると
リヤカーに薪窯を載せた焼き芋売りがやってきた。「いーしやーきいーも」と
いう呼び声が聞こえると、外に駆け出していって、熱々の芋を新聞紙に包んで
持ち帰ったものだった。
 これとは別に、冬になると、普段はほうじ茶を炒っているお茶屋さんの店先に、
大きな壺が置かれて、その中で芋が焼かれている香りを嗅いで家路についたもの
だった。

 いつしか、リヤカーが軽トラックになって、呼び声もテープになったが、石焼
き芋の味は変わらなかった。
 石焼きは、遠赤外線によりうまく焼けるということのようだが、土鍋に小石を
敷いて焼くといいとか言われ、最近では専用の電気焼き芋器まであるようだ。

 我が家では、そこまでしないでオーブンレンジにアルミホイルで焼くのだが、
それでも十分おいしく焼けるので、器具の方はこれで満足している。


 昔と違うのは器具より、芋の種類だろう。昔はホクホク系の芋で、紅あずまの
ようなのが一般的だったが、最近はねっとり系の芋、安納芋、シルクスイート
紅はるかなどが人気のようだ。

 我が家では、最近は紅はるかと同じ紅優甘を買うことが多いが、安納芋もいい。
安納芋も含めて、収穫後寝かせて熟成させることで甘みが増すのだが、なかなか
見た目では分かりにくい。表面に蜜が出て黒くなっているのがいいのだが、まだ
この時期では早いような感じで、今はおいしくなるのを心待ちにしている。


 芋を使った菓子では、何といっても芋羊羹。秋になると新芋を使った芋羊羹が
売り出され、おやつとして随分食べた記憶がある。1本20円位だったと思うが、
沢山買って牛乳を飲みながら食べたものだ。あんぱんにコーヒー牛乳が合うよう
に、当時は芋羊羹に牛乳というのが、自分の定番だった。
 芋羊羹は作るのに手間がかかるのか、今では随分高くなって、昔のようにバク
バク食べれないのが残念だが、この味はいつまでも無くなって欲しくないものだ
と思う。