自分の力で、問題に立ち向かった時

今週のお題「大人になったなと感じるとき」

 

 成人年齢は、国によって違いがあるし、日本でも法律によって
違いがあるのは、少年法の改正で話題になったところである。


 未成年の飲酒はいけないことになっているが、子供の時から
正月はお屠蘇を飲み、赤玉ポートワインを飲ませてもらっていた
身からすると、高校生でウイスキーを隠れて飲んだりしたが、
決して大人になったという感じはしなかった。
 
 確かに成人年齢になって、大っぴらに飲めるようになったものの
それで、大人になったなと感じたこともなかった。


 就職して給料を貰えるようになったが、親元から通っていたこと
もあって、自立したという感じはなく、半分学生生活の延長のよう
な感じで、これも大人になったという感じではなかった。
  
 それでは、大人になったなと感じたのはいつかというと、仕事で
存在感を示せるようになった時ではないだろうか。


 新人で配属された職場はシステムの開発で、そこには高卒の先輩
が多く働いていた。
 そういう人からすれば、入って1年やそこらの人間が、仕事も
できないのに、自分たちと同じような給料をもらっていることが、
不満だったのだろう、あからさまに大卒は給料を貰いすぎだという
者もいた。

 確かに、言われたままに仕事を行い、知識もスキルも不足している
のだから、そういう面がないわけではないが、当時は今のように実力
があれば評価されるような時代でなく、年功序列的な賃金体系だった
ので、いたしかたない面があった。
 それに、給料を決めるのは会社であって、文句があるなら会社に
言ってくれという感じだった。


 当時のシステムは、今のようにメモリーが潤沢にある訳ではなく、
モリー不足で動かなくなることがあった。
 ある時、システムのトラブルがメモリー不足で動かなくなった時に
どう対応するか騒いでいたので、私はプログラムのアセンブルリスト
を出力して、メモリー使用が少なくなるように、ソースコードを修正
するように提案した。
 勉強のために、ソースコードがどのようにアセンブルリストに変換
されるのか興味があって勉強していたのだが、それがうまくいって、
短時間で修正することができた。
 特に評価されたというわけではないが、自分も戦力になったなと
いう実感はした。


 その後、メーカー提供の言語ソフトの新版がリリースされたのだが、
そのソフトにバグがあって、コンパイルという翻訳作業をすると間違
ったコードが生成されるという現象が発生した。
 メーカーのミスなので、メーカーは修正版を提供することになった
が、提供時期が未定ということなので、人海戦術でエラー部分を手作
業で修正するかということになった。

 膨大なコードを手で修正するのは労力も大変だし、間違いが発生す
る可能性がある。
 私は、学生時代に勉強していたシステムのコンパイルの原理を応用
すれば、該当コードを読み取って正しいコードに置き換えることが、
可能なのではないかやってみてはどうか提案した。
 そんなことは、実務作業しか知らない先輩では思いつかないので、
メーカーでもないのに、そんなことができるのかという感じだったが、
やってみる価値はあった。
 今ならエディターのようなツールで簡単にできるかもしれないが、
当時はそういったツールもなく、自分でもやったことはなかったのだが、
幸い成功して短時間で修正することができた。
 メーカーの常駐SEの人が、それを聞いて申し訳なさそうにしてい
たことをよく覚えている。


 それ以降、給料を貰いすぎだというような話は聞かなくなったし、
経験だけではカバーできない仕事があるので、常に勉強していくこと
が必要だということを実感したのが、大人になったということだった。