祝日の意味

今週のお題「祝日なのに……」

 

 3月20日の春分の日は、土曜日に重なったため、休日が1日減った
ような気がするかもしれないが、昔は土曜日は半ドンと称して、昼まで
仕事があった。
 土曜の午後は、酒を飲むような時間でもないので、美術館や歌舞伎座
へ行ったり、銀座をブラブラすることができて、有意義な時間だった。
 週休2日制へ移行するのに伴って、平日の勤務時間が長くなり、そう
いった機会も減ってしまった。
 
 もっとも、サービス業は土日、祝日が稼ぎ時なので、祝日に休んだこと
がないという人もいるかもしれないし、工場などは稼働効率を上げるため
週中にあるような祝日は、夏休みなどに振替したりしているので、祝日の
意味がどこまであるかと思うこともある。
 さらに、最近は祝日が固定日でなく、第何月曜日とか、オリンピックの
開催に合わせて10月を7月に持ってくるといったことまでするので、
これはやり過ぎではないかと思う。


 今は休日に出勤するということはないが、昔は深夜勤務に、休日出勤も
かなりやっていた。
 最近は、労働基準法違反の取締りやブラック企業といった世間の批判が
きついせいか、昔に比べて休日出勤が減ってきているかと思ったが、法の
適用外の役所の超過勤務は、かなり度を越しているようにも見える。

 民間でも、期日があるような仕事は休日出勤も止む無しということが
あるようだし、個人事業主ともなれば、深夜・休日とか言ってられない
こともあるだろう。
 ただ、あらかじめ覚悟するなり、事前に見込まれている場合はまだしも、
孤立無援で追い込まれて残業してしまうことだけは無いようにするのが、
上司の務めであると思う。
 今は、嫌なら辞めるという感じかもしれないが、家族を抱えてそこまで
決断できない人も結構いるのではないだろうか。
 役所の例を見てそう思う。
 
 
 話を祝日に戻そう。最近は祝日が増えて、6月と12月以外は、毎月祝日
がある。
 観光業や小売業のために祝日を増やし、日曜日と重なった場合は翌日を
休日にして連休を増やすだけでは満足できないと、祝日を増やすのは、ある
意味ポピュリズムだが、正面切って反対する人はいないと思う。
 一方で、祝日の意味も価値も、どんどん低下していっているように思う。
 今回、国民の祝日に関する法律を改めて読み直してみたが、私を含めて、
それぞれの祝日の意味を理解している人がどれだけいるかと思ってしまった。

 春分の日は、「自然をたたえ、生物をいつくしむ。」となっているのだが
そうしたことをした人はどれだけいるだろう。むしろ、春のお彼岸の中日で
墓参りに行った人の方が多いのではないだろうか。
 ちなみに秋分の日は、「祖先をうやまい、なくなつた人々をしのぶ。」と
なっているので、まさに墓参りがぴったりという感じだ。

 コロナ禍で花見どころではないかもしれないが、春分の日には花を愛で、
生き物の息吹を感じることができれば、祝日なのにということはないので
ある。