説明と反省を

 

 新型コロナウイルスの感染が再拡大しているが、横ばいで完全に
下げ切らない状況で、政府は緊急事態宣言を解除した。
 延長した時に比べて医療態勢がひっ迫しなくなったということの
ようだが、それ以前に市民が自粛要請に従わなくなってきたため、
宣言の意味が無くなってきたからでもある。

 当然のように、市民の行動は自由度が増し、いくら飲食店の営業
時間短縮を継続しても、既に効果の限界が見えてきていたのだから、
新たな対策をしない限り、感染が再拡大するのは目に見えていたと
言える。
 政府も知事も、3密回避や行動自粛の要請はするが、多くの人は
聞き飽きているし、やっている人はやっていても、全員が常にそう
いう意識でいないのは明らかだと思う。

 ある意味出来もしないことを言って、やっている感は出しても、
実効性がないことについての反省がないとしか言いようがない。
ならばどうするべきなのか。


 マスクをして飲食する位なら、飲食などしない方がいいと思うし、
花見をしたいのに不要不急の外出をするなと言われれば、どうすれ
ば花見をしてもいいのか位言えよと文句を言いたくなる。
 言っていることはもっともなのかもしれないが、あまりに安直で
人間の心理を無視しているようにしか思えない。
 昔から医者の言うことは、人間の心理を無視して勝手なことを
言う傾向がある。例えば、「安静にしていなさい。」と言われても
安静にしていたら生活できない人間はどうしたらいいのか。

 不要不急の外出を控えろと言っても、どこまでが不要でどこまで
が不急なのか、基準があるわけではなく、自分で考えろとでも言う
感じなので、当然ながらこれ位はいいだろうと思ってもおかしくな
い。
 送別会をするなとは言わないが、多くでするのはいけないとか、
遅くまでするのはいけないといったことを言うが、そんな基準は
いつから明示されているのかと思うし、もともと強制力もないのに
そこまで言うのかという気もする。


 多くの人の心理では、ここまで我慢して協力しているのだから、
どうすれば花見をしていいのかを考えて提示してもらいたいし、
送別会だってやりたいのだから、どうすればできるのかを考えて
提示してもらいたいと思っているのではないか。
 一方的に禁止だけ言っても、何も生産的なことはないし、苦しむ
のは飲食店だけでなく、関連業者も苦しんでいる。
 医療関係者が苦労しているのもわかるが、どうすれば感染拡大を
抑えながら、経済活動を回していくのかという発想が、全く見られ
ないのは、何もしなくても生活が保証されているお役所的な発想が
政治家も含めて蔓延しているからだと思う。


 私は、一律に飲食店の営業時間短縮を求めることはおかしいと思
う。何故なら時短だけが対策ではないと思うからだ。
 有効な感染対策を取っている店であれば、営業時間の延長を認め
てもいいだろうし、1人で飲食する場合は感染拡大が限定されるの
だから、営業時間に関係ないと思う。
 4人以上の会食を控えろというのも、既に生活している家族なら
4人で飲食してもそこで感染が拡大するというものではない筈だ。

 現状の感染拡大の原因が、飲食店に大きく起因するならば、その
原因と対策を示すのが本来のあり方で、一律の時間短縮は不合理
だと思う。


 ステージ2以下の県については、県版のGOTOトラベルに対して補助
をするというのも、相変わらずのバラまきで、観光を振興しようと
思うなら、大都市からの旅行者を対象にするべきだが、感染拡大が
怖くてそんな事は言い出せないのだろう。
 感染拡大が怖ければ、感染地域との人の流れを完全に絶てばいい
のだが、そこまでやろうと言う人はいないだろう。何故なら、仕事
で大都市に行かなければいけない人もいるからだ。
 そういう意味では、現実に大都市と地方都市を行き来する人が
いるにもかかわらず、どのような対策をしているのかが見えない。
 沖縄県では、空港で来県者に検査をしてもらうようにしていると
いうが、それなら出発地の県でも出かける前に検査をするように
すればいいと思うのだが、それができていない。
 また、検査の精度の問題もあるので、陰性の人であっても、その
後の行動管理が重要だと思うのだが、そこまでの手当てはしてない
ようだ。

 

 様々な決定や判断があるが、今そこに必要なのは説明と反省では
ないだろうか。
 政府や自治体のこれまでの決定や判断について、十分な説明が
あったとは思えないと感じているのは、私だけではないだろう。
 また、過去に行われた決定の全てが正しい訳ではないので、謙虚
に反省して、説明を伴った新たな決定をする方がいいと思える。
 そういう意味では、発想を転換して、これまでの施策が目的に
照らして十分だったのか、別の施策がないのかという再検討をして
みる時期に来ているのではないだろうか。