お弁当のトラウマ

今週のお題「お弁当」

 

 小学校は給食だったので、お弁当は中学校からだったが、
高校ではお弁当を持って行くことが少なかった。
 高校では、パンを買ったり、簡単な食堂で軽食を取れた
ということもあるが、大きな理由は弁当箱にあった。
 当時の弁当箱は、今のような気密性や保温性の高いもの
ではなく、アルマイトでできた蓋つきの箱のようなもので
ご飯とおかずを1つの箱に押し込めた、よくあるタイプの
ものだった。

 朝時間のない中で、母が作ってくれた弁当は、前の晩の
おかずの残りや朝焼いた卵焼きと海苔とご飯が入ったもの
が多かった。
 ある日、前の日の残りの煮物を入れてくれたのだが、
弁当箱に蓋をしてハンカチのような布で包んであったのが
煮汁が滲みだして、学校に着いた時は教科書がグダグダに
なってしまっていた。
 紙の教科書は、乾いてしまうと貼り付いてしまうので、
1枚1枚はがして、紙や布で水分を取ったのだが、汁の色
や匂いは、残ってしまった。

 弁当箱を横にしたのが悪いのかビニールのようなもので
包まなかったのが悪いのかはあるが、こういう事があると
弁当を作ってもらうより、買った方がいいという気持ちに
なって、朝お金をもらって行くようになったという訳であ
る。


 弁当のトラウマは、社会人になっても続いていて、基本
会社の食堂で食事をするのだが、食堂のない会社に勤務し
た時は、妻に弁当を作りましょうかと言われても、外へ出
て食事をするからと言って断っていた。
 外食はいい点もあるのだが、店を探し席を確保するのが
面倒なのとワンパターンになりがちなので、たまには弁当
を作ってもらうのもいいと思う。
 妻も子供の分と一緒に作るので、それほど手間が増える
訳ではないのだが、結局、作ってもらうことはなかった。


 会社に持っていく弁当はなかったが、弁当そのものが嫌
いという訳ではないので、コンビニ、デパート、駅などで
弁当は時々買って帰る。
 コンビニ弁当を買う機会が多いのは、妻が旅行で不在の
時に、自分で作るのも面倒という時が多い。
 デパートで弁当を買うのは、疲れたので夕飯は弁当でも
買って済ませようとか、家では作れないようなものが入っ
た弁当を買うということが多い。
 駅弁は、京王百貨店で駅弁まつりをやっている時に買う
こともあったが、新幹線などで旅行する時は、よくお世話
になっているし、その地方の名物弁当もあるので、旅行の
一つの楽しみでもある。


 ここ最近は、コロナウイルスの関係で、テイクアウトを
使うことが多く、弁当のお世話になることも増えた。
 ただ、買った弁当ではなく、母や妻の手作りのものは、
愛情が込められているような気がして、一味違ったものに
なっていると思う。
 そういう意味では、弁当を作ってもらえるというのは、
素晴らしいことなのだと改めて思った。