子供の頃の思い出と共に

今週のお題「寿司」

 

 私が子供の頃は、寿司と鰻は高級品で、何かの行事とかでもない
と食べられないようなものだった。鰻の方は相変わらず高級品だが、
寿司の方は回転寿司が登場して、一気に価格が下がり、誰もが気軽
に食べられるようになったのはいいことだと思う。
 回転寿司だけでなく、スーパーの寿司や持ち帰りも、値段の割に
おいしいので、寿司の消費は大きく伸びているのではないか。


 私自身は、高級な店で食べたことはないのだが、テレビや写真で
見ると、材料も加工技術も素晴らしいものなので、日本の食文化を
代表するものの一つと言っても過言でないと思う。
 昔は生魚を食べなかった欧米でも、今や日本の鮨は多くの店があ
り、デリのようなところでも、冷凍の鮨が打っていたりするし、英
語もSUSHIで通じてしまうところが、素晴らしい。


 握りずしは、握りずしでおいしいのだが、子供の時は押し寿司も
よく食べた。昔は、冷蔵・冷凍技術が発達していなかったので、握
りずしを鮮度よく食べるには、店に行く必要があったが、押し寿司
であれば、持ち帰って家族で食べることができたためだ。
 押し寿司は、鯖のバッテラが代表で、今でもよく買って帰る。私
が買うのは安いものだが、京都の「いづう」のような高級な店もあ
るので、食通の人にも満足いくものだろう。
 和歌山へ行った時には、ラーメンと一緒に早ずしが出てきて、異
文化に驚いた記憶がある。手軽に食べられる押し寿司は、どこでも
人気がある。

 押し寿司の中では、柿の葉寿司も時々口にする。一口サイズで食
べやすいということもあるし、柿の葉に包まれた寿司は、伝統を感
じると共に、今ではエコな雰囲気もある。
 柿の葉で包むのは珍しいが、笹の葉を使うのは、ちまき寿司や鱒
ずしなどがある。ちまき寿司は、最近あまり見かけなくなったが、
有職という店があり、また、ちまきではないが、笹巻けぬき寿司も
ある。
 鱒ずしは、知人から送られてきて時々食べるのだが、地元の人は
どこの店がおいしいとか、それぞれ贔屓の店があるようだ。鱒と言
うと川鱒をイメージする人が多いかと思うが、こちらは日本海の桜
鱒で、種類からいうとヤマメと同じらしいが、味は海産鱒である。


 握りでも押しでもないのが、ちらし寿司で、酢飯に魚や卵焼き等
華やかな感じであり、雛祭りの時などによく作ったりする。これと
押し寿司とが一緒になったのが、長崎の大村寿司で、義理の母が好
きだったので、物産展などで店が出てきた時には買ったりする。
 また、子供の時に食べたので忘れられないのが、茶巾寿司で、こ
れと芋羊羹が御馳走だった。
 子供の時に食べた茶巾寿司は「京樽」だったが、「有職」でも作
っているほか、四谷の「八竹」も有名である。財布と相談で、通常
は「京樽」で、余裕がある時は、これらの店を利用する。
 茶巾寿司を食べると、子供の時の楽しかった時間が蘇ってくる。
食べ物は、思い出と共にあるのがいいものだ。