食べておいしい方がいい

今週のお題「肉」

 

 我が家で一番食べている肉は、豚肉だと思う。肉の消費は地域的
傾向があり、東日本が豚肉、関西が牛肉、九州が鶏肉という傾向が
ある。
 そういう意味では、豚肉が主でおかしくないのだが、唐揚げ人気
ステーキチェーンが台頭したりしているのを見ると、地域色は
次第に薄れていくのかもしれない。


 肉食というのは時代性もあるかと思うし、文化的、宗教的な影響
も無視できない部分がある。
 明治維新後に、牛鍋が売り出されても、四つ足の肉は穢れがある
ということで、なかなか広まらなかったとか、現在でもちゃんこ鍋
はゲン担ぎで、両手をつかない鶏肉が主だ。
 イスラム教徒は、豚肉を食べないし、ヒンドゥー教徒はベジタリ
アンなので、基本的に肉は食べないといったことがある。
 私は特に肉食を好むという訳ではないが、宗教上の理由で食べれ
ない物があるというのは、気の毒な気がする。
 信者の人は食べたこともないし、禁断なのでそんな事は思ってな
いだろうが。

 もっとも、牛であれ、豚であれ、生きていた動物を殺して食する
というのに、抵抗感がない訳ではない。
 かつて競馬好きな先輩が、馬肉だけは食べれないと言っていたし、
私も肉屋の店頭に鶏が丸裸で吊るされていたのを見てから暫くは、
鶏肉を食べたいという気がしなかったことがある。
 熊狩りや鹿狩りをする猟師は、獲物を山の神に捧げた後に、綺麗
に処理することで、命の大切さを自覚していると言う。
 屠殺場へ出荷される動物の姿を見ると、積極的に肉食をしたいと
いう気にならなくなったりするのだが、多くの人は、ブロックや
スライス等の処理された肉を購入するので、それほど抵抗はないの
だろう。
 今でも家禽として鳥を飼ったり、モンゴルのように羊を家畜とし
ている人々は、生活の一環で屠殺をしているが、肉だけでなく血や
皮を含めて余さず利用していくことで、命に報いているように思え
る。
 
 
 話がかなり訓話的になってしまったので、今までどんな肉を食べ
てきたかを思い出してみたい。
 牛、豚、鳥はポピュラーだが、最近は羊もスーパーの店頭に並ん
でいる。レストランに行けば、ジビエとして鹿、猪、鳩、兎などが
あり、私も食べたことがある。
 秋田に住んでいた時は、熊肉も食べたことがあり、熊本に住んで
いた時は馬肉もよく食べていた。もっとも、馬肉は熊本に行く前に
長野で馬刺しを食べたことがあったので、特に驚くことはなかった。
 
 肉の種類はそんな程度だが、同じ牛肉でも松阪牛とか神戸牛だと
かの銘柄牛や等級がA5だとかA4だとかうるさく言う人もいる。
 確かに銘柄牛は、一般の輸入牛肉に比べれば上等でおいしいが、
何の料理で食べるかでも違いがあるし、等級の方は味のランクでは
ないので、それほど気にする必要はないと思う。
 要は、おいしく食べれればいいのであって、高い肉が何でもいい
という訳ではない。

 
 そうは言っても、私自身銘柄にこだわってないという訳ではなく、
毎冬に食べるキリタンポ鍋には、比内地鶏のスープと肉がいいと思
うし、かつて岡山に出張した際には、はるばる新見まで千屋牛を食
べに行ったことがある。
 味覚というものは、人によって違うし、体調によっても変わって
くる。最近のコロナ禍では、臭覚や味覚に障害が出てきている人も
多いので、お取り寄せでもいいので、時間と財布が許す限り、おい
しい肉を味わってもらうといいのではないだろうか。