秋の景色を感じる歌

今週のお題「秋の歌」

 

 昔は、「暑さ寒さも彼岸まで」と言ったものだが、
最近は10月頃まで暑さが続き、秋が来たかと思って
いたら、急に寒くなってしまうという事も多い。
 これも地球温暖化の影響なのだろうか。
 そんな訳で、秋を感じる歌も、聴く機会が少なくな
ったような気がする。

 秋を感じるのは、紅葉そして落葉。
「秋の夕日に照る山紅葉 濃いも薄いも 数ある中に
 松をいろどる 楓や蔦は 山のふもとの 裾模様」
という唱歌は、自然を愛でる日本人の心の原風景の
ような気がする。

 枯葉というと、シャンソンの定番。イブ・モンタン
が歌うフランス語の歌詞は、意味がわからなかったが、
越路吹雪が歌うのは、哀愁を感じさせた。この枯葉と
いう曲は、アメリカに渡って英語版のオータム・リー
ブズが作られ、日本語も岩谷時子さん以外にも訳詞が
あるようだ。
 いずれにしても、シャンソンというジャンルがある
のを知った曲だった。


 この曲の影響があるのか、秋というと哀愁を感じる
ことがある。越路吹雪つながりという訳でもないが、
「誰もいない海」という曲は、「今はもう秋 誰もい
ない海 知らん顔して 人がゆきすぎても わたしは
忘れない 海に約束したから つらくても つらくて
も 死にはしないと」いう歌詞で、トワ・エ・モワ
方がヒットした。
 コロナ禍の今だけでなく、昔もつらく感じることは
多かったし、それに共感する人も多かったということ
だろう。


 もの思いにふける秋は、郷愁も感じさせる。秋とい
うと実りの秋で、稲穂が揺れる中に案山子が立ってい
る姿を昔はよく見た。
 さだまさしの案山子は、そこにかけて郷愁を抱く人
の姿を描いているのではないか。
 「元気でいるか 街には慣れたか 友達できたか
寂しかないか お金はあるか 今度いつ帰る」で始ま
り、途中から始まる
 「山の麓 煙はいて列車が走る 凩が雑木林を 
転げ落ちてくる 銀色の毛布つけた 田圃にぽつり
置き去られて雪をかぶった 案山子がひとり おまえ
も都会の雪景色の中で 丁度あの案山子の様に 
寂しい思いしてはいないか 体をこわしてはいないか」
という描写がなんともいいと思う。

 時代を超えて、秋を感じさせる曲はいいものがある。