資料を見れば、その組織のレベルが判る

 緊急事態宣言が全国に拡大されたが、これで感染拡大が抑えられると
思ったら、考えが甘いのではないか。
 なぜなら、緊急事態宣言を出そうが、出すまいが、政府・自治体が
強制的にできることは限られているし、そもそも現状の対策について
どこまで本気にやろうとしているか分からないからだ。

 

1.緊急事態宣言・基本的対処方針の内容

  緊急事態宣言に伴って、基本的対処方針が改定され、さらに16日
 の全国への拡大に伴って、改訂されているが、基本的な構成方針は
 変わっていない。

  前書き
  一 発生状況に関する事実
  二 対処に関する全般的な方針
  三 対策の実施に関する重要事項
   (1)情報提供・共有
   (2)サーベイランス・情報収集
   (3)まん延防止
   (4)医療等
   (5)経済・雇用対策
   (6)その他重要な留意事項

  これを見てもわかるように、何を最重点にやっていくのかという
 のかと言えば、自ら先頭に立って、これをやっていくというものに
 なっていない。従って、目標もなければ、具体的な内容に乏しく、
 役所のあれもこれもやりますという内容に留まっているようにしか
 見えない。
  一方で、特定都道府県で7割とか8割の接触機会の低減を目指す
 のは、(3)のまん延防止のところで、具体的な手段を、まず協力
 要請としているのを見ると本気度が疑われる。もちろん、マスクを
 全世帯に配布することなど、どこにも書いてない。

 

2.何を優先すべきなのか

  事態は、毎日変化していて、まん延防止もあるが、優先すべきは、
 医療崩壊を招かないようにするべきで、オーバーシュートする前に、
 医療態勢の整備と検査態勢の整備が急がれると思われるが、優先度
 がそれほど高いように見えないのは、現状認識が間違っているのでは
 ないだろうか。
  基本的対処方針の前に、4月1日に専門家会議から状況分析と提言
 が出されているが、これが十分に反映されているようには見えない。

  基本的な対処方針を作成することは、役所として重要なのかも
 しれないが、おそらく総理以下の対策本部で、その内容を議論する
 ことはなく、形だけのものになっているし、国民もその内容について
 理解しようとする人は少ないので、本当に重要な事項、優先する
 事項に絞って、いつまでに、何をすることで、こうなるということを
 説明するべきではないか。

  このような程度の資料で、国難とまで言っている事項が、適当に
 決定されているかと思うと情けないし、対策本部が十分機能して
 いないため、国を相手にしないで、各自治体が独自に対策を進めて
 いるのもわかる気がする。

 

3.自分ならどうするか

  新型コロナウイルスについて、ある程度目途がつかないと、経済
 対策をしても、効果が限られるので、いかに目途をつけるかだが、
 その前に医療が崩壊しては、目途もつけられないので、感染の拡大に
 対応した医療態勢の整備をつけることの方が重要である。

   そうなると、感染の拡大は、既に始まっているし、接触機会を削減
 しても、効果が出てくるのは2週間後とすれば、また、対策の有効度
 が100%になることはないので、70%とか60%になった場合の医療
 資源の確保が優先されるべきで、そのような試算を基に、対策を策定
 するのが1つ。
  また、その場合、県によっては、医療態勢が脆弱なところもある
 ので、そのBCPを策定する必要もある。

   クラスター追跡そのものは必要だが、既に、感染がまん延している
 状況では、必要な検査を拡充する必要があるが、全体で2万件などの
 根拠のない件数ではなく、必要な地域に必要な件数がどれだけで、
 そのためには、いつまでに、どのような具体策で実現するかを示す
 必要があると思う。

  これで、いつまでという目途を示したうえで、そこまで凌ぐ経済
 対策を作成していくのが、手順ではないだろうか。