年頭に思う2

 

 新型コロナの影響はあるだろうが、今年の日本
経済はどのようになるだろうか。
 岸田総理は、新しい資本主義を提唱しているが
実態はよく見えない。

 アベノミクス安倍氏は自慢しているが、私は
評価していない。金融政策と財政政策は、過去の
政権でも実施してきている。違いと言えば大幅な
金融緩和を日銀総裁を交代させて実施したこと位
ではないか。
 金融政策は日銀が決めることだと言いながら、
日銀総裁は政府しか見ていないので、苦しい言い
訳をしながら金融緩和を続けているようにしか見
えない。
 金融緩和で最大の恩恵を受けているのは政府や
富裕層で、最大の被害者は金融機関と預金者だと
思う。
 物価上昇にしろ景気拡大にしろ、金融政策だけ
では限界があることは、最初から分っていたと思
うのだが、肝心の成長戦略がうまくいかないため、
看板をかけかえて取り繕ってきただけで、日本の
成長は欧米に大きく後れを取っている。


 菅内閣のデジタル化戦略はいいと思うが、これ
とて20年前に、政府が基本戦略を作った時点か
ら着手していれば、今のような状況にはならなか
ったと思う。
 デジタル庁はできたが、全体的な方針なり具体
的な実施事項はこれからだろう。マイナンバーカ
ードの活用程度では、インパクトが小さいと思う。

 このデジタル化は、本来、規制改革の一丁目一
番地にあるべきものなのだが、役人も政治家も既
得権が脅かされるし、慣行を捨てたくないので進
まなかったのではないか。
 政府の審議会は、政策当局が人選し、下打ち合
わせでシナリオを作っているので、本来あるべき
ものが行われず、獣医学部の新設のようなどうで
もいいテーマが突然出てきてしまうと見ている。


 働き方改革もそうだが、国会や政府が率先して
範を示すのが本来の在り方だと思うのだが、それ
ができないということが、日本の問題だと思う。
 失われた30年というが、バブルの処理があっ
たとしても、20年以上は不作為が続いているの
ではないだろうか。
 郵政民営化をしたではないかと言う人もいるか
もしれないが、かんぽ不正を見てもわかるように
率先垂範が行われないという問題は残っている。


 行政に多くを期待しないとしても、これからの
日本経済を牽引していくのはどのような産業で、
人、モノ、金をどのように集めていくべきなのだ
ろうか。
 かつての日本は、鉄鋼、造船、電機、自動車な
どの製造業が多くの雇用を維持し、競争力を持っ
ていたのだが、円高を契機に海外移転や競争力の
低下に直面し、新規分野への挑戦もうまくいって
ない企業が多い。
 加えて深刻だと思うのは、人口減少や経済格差
で、将来に向けた人材が不足していることだと思
う。

 日本のシステム会社は、派遣会社のようなとこ
ろが多く、技術的な基盤を作って世界に打って出
るような会社が少ないし、多重下請け構造を抱え
ているのが、日本の現状を招いている面がある。
 そこに人材不足があるのは、政府のシステムを
受注している会社のレベルを見てもわかると思う
が、これは政府が戦略的に人材の育成と確保をし
てこなかったつけが来ているのだと思う。
 いくらデジタル人材を育成するとぶち上げたと
ころで、誰がどのようにいつまでにといった内容
が伴っていなければ、進む筈がない。

 
 産業界では、選択と集中が言われたが、行政を
含めた多くの分野で選択と集中が求められるのが
今年ではないだろうか。
 そして家計も含まれることは言うまでもない。
見直しの一年になる。