銀行の手数料に思う

 銀行間の振り込み手数料が、高すぎるのではないかということで、
見直しが検討されている。4月に公正取引委員会が、事務コストを
上回る水準だという報告をまとめたのもあるが、定額のため、少額
の振り込みについては、割高になってしまうということがある。
 銀行間の振り込みを含めた資金決済は、全国銀行データ通信シス
テムを利用しているため、高コストになっている面があることは否
めないが、そもそも手数料は、銀行毎に決めている面もあるので、
それが高いか安いかは人によって違いがある。

 

 私自身は、銀行の優遇措置を受けるために、一定程度の取引を確保
しているため、振り込み手数料を払うことは少ないし、他行への
振り込みは、現金でその銀行のATMに入金するなどして、節約をして
いるため、それほどの負担感はない。
 手数料というものは、安ければ有難いが、信頼性も含めてどこまで
なら妥当かという評価が難しい。今はネットバンクで、簡単に送金を
行えるが、ネットバンクについての利用手数料があるわけではない。
 銀行の口座についても同様で、口座管理手数料を取るという話も
出てはいるが、利用者の反発が大きいと予想されるので、踏み切れて
いない。

 みずほ銀行が、通帳の発行手数料を新規顧客から徴収するということ
にしたようだが、今まで無料だったのは、銀行の顧客サービスという
ことと、通帳がないと取引履歴がわからないため、必要だったから
だが、通帳発行には印紙税がかかるため、見た目よりコスト負担が
大きい。

 ATMも時間外手数料はあるが、多くの時間帯では、無料で現金が
引き出せる。これも提携金融機関で引き出す場合に、手数料がかかる
場合が多いが、振り込み手数料ほど高額ではない。この現金引き出しは
全銀システムとは別のシステムを使っているが、銀行間合計の資金決済
は、全銀システムを使っているため、それなりに負担はある。

 

 銀行にしてみれば、一部の手数料を取り出して高い安いという議論
はしたくないが、長年の慣行で決まっている手数料を見直すことで、
コスト全体の見直しに手を付けたいという思いはある。

 今回の話の伏線は、キャッシュレス決済を普及させるための障害の
一部になっている振り込み手数料を見直しさせたいという政府の意向が、
見え隠れしているが、忘れてはいけないのは政府にとって都合の悪い話
は取り上げようとしないということだ。

 銀行だって積極的に手数料を取りたいと思っている訳ではないが、
長短金利の政策的な引き下げが、銀行経営に大きなダメージになって
きている。大胆な金融緩和も、短期であれば許容できても安倍政権に
なってから長期化してきており、さらに新型コロナウイルスの影響も
あって、さらに長期化することが予想されるため、このままでは、一部
の金融機関は整理されざるを得ないのではないかと思う。

 そして私たちの預金者の金利が、糸くずのような金利になってしまって
いることについて、政府も日銀も当然のように振舞っていることが腹立た
しいと思っているのは、私だけだろうか。