帰れる実家があるのは幸せ

今週のお題「わたしの実家」

 

 私が実家を意識するようになったのは、家を出て
からだ。何故なら、実家から通っている間は、それ
を意識することがなかったから。
 実家とは親子の関係であり、実家の周囲の環境は
故郷のような関係でもある。
 それ故、実家から物理的にどれ位離れるかと共に
心理的な距離間がどれ位あるかが問題だと思う。


 私の場合は、早くから家を出たいと思っていたの
だが、学生の頃は家から通っていたし、就職しても
地元に実家がある場合は、原則自宅から通勤するの
がルールだった。
 それでも、むりやり理屈をつけて、2年目に会社
の独身寮に潜り込むことに成功した。
 独身寮では、隣が同期だったり、仕事帰りに寄る
飲み屋もあって、実家にはない環境に満足していた。
 実家に帰るのは、基本的に正月などの家族が集ま
る時と自分の都合で何かをしてもらう時だけだった。


 結婚すると、会社の家族寮に入り、遠くなって、
ますます疎遠になり、さらに転勤で地方に行った時
は、実家に行く機会もさらに減っていった。
 妻が子供を連れて実家に帰ってしまうと、私の実
家より、妻の実家に顔を出す機会の方が多くなった。
 大きく変ったのは、父親が病気になってしまって
からだ。
 それ以前に妻の父親が倒れて、妻が実家に足繫く
通っていたので、今度は私の父親の番になり、妻に
は苦労をかけた。

 
 そして父親が亡くなった今は、母親が1人で暮ら
す実家に、週数回行って用を足すのが常になってい
る。
 やがて、母親が亡くなれば、こんどは自分の家が
我が子の実家になっていくと思う。
 私は独立志向が強いので、それほど思わないのだ
が、妻は子供が帰ってくるとなると、うれしそうに
あれこれ準備して、気を回している。
 実家とはそういうものなのかと思うし、帰れる実
家があり、待ってくれている人がいるのは、幸せな
ことだと思う。