デジタル庁の設置に思う

 新総理大臣のお声ががかりで、デジタル庁を設置し、行政改革も推進していく
らしい。デジタル庁を設置したところで、どの程度のことができるのかは、
わからないが、それで推進していくことに異論はないと思う。

 ただ、政府のIT化は2001年に「IT基本法」ができてからの課題で、その後
何度も見直しはしていたが、大きな進展がみられなかったと思う。ところが、
今般の新型コロナによる政府機能の問題点が顕在化してきたため、7月になって、
「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」を変更する
という閣議決定までするようになった。

 

 かつて政府の規制改革として、「農協の制度改革」を大きな実績として取り上
げたが、その時点から、そんなことよりもっと先にやるべきこと、つまり大きな
行政改革・デジタル化を優先すべきでないかと思っていた。
 新政権になってやっと取り組むことになったが、当然のことながら、IT総合
戦略室は内閣官房の所属なので、内閣情報通信政策監がいたとしても、進展して
こなっかたことは官房長官として責任があったと言える。


 私は、責任をどうこう言うつもりはなく、デジタル化が進展してもらえれば
いいだけだが、「仏作って魂入れず」といったように、往々にして法律は作った
が、その運用や精神がグダグダになっていることが多いので、新しい役所ができ
ても、議論百出で、一向に前に進まないといったことが起こるのではないかと
いう気もする。

 

 行政改革にも関連しているが、多くの岩盤規制は、業界と政治家と役所が一体
になって既得権を護るという構図になっている。デジタル化して、手続き面は
ペーパーレスやワンストップになったとしても、オンライン診療のような仕組み
全体を大きく修正するのは抵抗が大きいのではないか。

 さらに、国と地方の行政を効率化するためには、地方自治法を見直して、行政
能力が劣る地方自治体には、統一的な行政サービスメニューに従うようなことも
可能にする必要があるのではないだろうか。


 個人情報保護法が出来てから、国も地方自治体も個人情報の取り扱いがバラバラ
になっており、それもシステム化をする上での大きな制約になっていると思う。

 

 デジタル庁の設置ばかり話題になっているが、本当の目的なり、目標が何なのか
を広く国民に示してもらいたいと思う。