10万円と補償

1.10万円支給について

  新型コロナウイルスにより、経済的に困窮している
 人々の救済として、当初は減収割合と世帯人員に
 応じて最高30万円、国が支出するという話が、
 急転、全国民に1人10万円支出するということになった。

  賛否いろいろあると思うが、何で、こうも中身が
 変わってしまうのか。10万円もらえるのは嬉しいが、
 外出自粛程度で、それほど大きな影響を受けていない者と
 仕事が無くなり、収入が大幅減になっている者では
 金の価値が違うと思う。

 

  思えば、9年前の東日本大震災で被害を受けた者にも、
 見舞金を支出はしているが、到底、そんなものでは足りない
 ので、全国から多くの募金が寄せられたと思う。

  今回のウイルスにより被害を受けている人は、地域を
 超えて、また、多くの業種にまたがっているので、
 なかなか特定するのは難しいこともあり、ざっくり減収幅と
 世帯人員で、政府案を作成したのだろうが、ここまで
 来ると、財政が大幅な赤字を抱えているにもかかわらず、
 ポピュリズムと言われても、仕方がないのではないか。

 

  もともと野党が、一律支給を言っていたのも、どういう
 根拠だったのかよくわからないが、今回は、全国民でアメを 
 舐めて、ウイルスに立ち向かう一体感が本当にできるのだろうか。

  今回の支給は、早く支給するためには、一律で、申請方式が
 いいということから出てきた案でもあるが、どうも筋がよくない。
 挙句の果てに、政府や国会議員は、申請を辞退するという
 話も出てきて、本当にレベルが低いという感じがする。

 

  辞退とかいう話よりは、本当に困っている人間が、現状で
 どれだけいて、このまま自粛が続くと、どうなるのかという
 見込みを立てて、そのために必要な政策が何なのかという
 ことを提言していくべきではないのか。


2.補償について
  緊急事態宣言に伴って、休業補償をという話が出て、東京は
 財政的な余裕もあるので、一早く、協力金を打ち出したが、
 他の県では、出さないと言っていたのが、政府から交付金
 出ることになって、一転支給することになった。

  強制力がないので、自粛要請の実効性を高めるためには
 何らかのアメを与えるという東京都の判断は、ある意味妥当だが、
 政府も他県も、要請すれば何でも従ってくれると考えていたの
 だろうか。

 

  休業要請に従わない店は、金額的に少ないということだが、
 本来、この措置は休業補償とかいうレベルではなく、その店で
 感染者が出て、クラスタが発生した場合は、どのように責任を
 取るのか考えていないということ。また、自分の周囲には
 感染者がいないので、感染なんかしないという根拠のない
 思い込みがあるからではないか。

  海岸や公園に人が出るのも、感染拡大に対する危機感も
 責任感もないからで、そうなっているのは、結果として、
 政府の告知が間違っているからではないか。

 

  感染者数が、それほど多くなかった初期段階で、クラスタ
 追跡に成功していたこともあって、ヨーロッパや米国の
 状況を他人事のように見て、実効的な対策や感染拡大の
 シナリオに対する対策を詰めて来なかったことで、政府内も
 国民も大事になるという意識ができて来なかった。

  それは、緊急事態宣言が出た今でも、続いていて、場当たり的
 な対応と安易な見通しをしてきているように見える。


  この犠牲になっているのは、現場の医療関係者と老人や
 幼児を抱えるなど、業務を続けないとならない人達だと思う。

  国民にマスクや金を配るのもいいが、本当に必要なところに
 何を手当てしないといけないのか、現状の把握と具体的な対策
 を迅速に取れないような政府幹部は、辞めてもらい、実務的な
 能力のある人間を複数、引っ張ってきて、明確なビジョンを
 示してもらいたい。

  今が、国難と言うが、かつて国難でもないのに国難といった
 人間がそう言っても、誰もそう思わないので、結果として、
 緩んでしまうのではないだろうか。どうしたものだろう。