システム対応の遅れは、認識の問題

 政府を含めてシステム対応の遅れがみられる企業は、情報への
認識が不足しているのではないか。
 元々情報という訳語は、敵情報知から来たと言われているが、
英語の information は何を知らせるという意味はない。つまり、
何を必要としているかで、情報の中身が変わってくるということだ。


 例えば、特別給付金の支給に必要な情報は、基本的に世帯情報と
口座情報と給付の要不要だけなので、世帯情報を持っている自治
は、口座情報と給付の要不要だけあればいいので、本人がその情報を
自治体に出しさえすれば、給付はできるはずである。
 ところが、自治体には口座情報がないという前提で、入力と証憑を
付けて申告させたが、申告納税しているものや還付請求している者は
口座情報が既にあるはずだし、年金受給者だって受給口座の情報は
あるはずなので、口座を限定してしまえば、入力と照合の負荷は
減るはずだ。そうやって、範囲を絞り込めばよかったし、口座情報が
キーならば、金融機関の窓口から申告させれば早かったのではないか。

 情報には、information 以外に inteligence という言葉もある。
アメリカ合衆国のCIAは、中央情報局という訳語を当てているが、この
Iは、inteligence なので、スパイ活動は単なる情報収集ではないことが
よくわかる。
 同様に、システム対応も、本来はこの inteligence を働かせないと
いいシステムは作れない。そのためには、大きな視点でどのような情報
を集め、何のために使うかということが解っていないといけないのだが
政治家を含めて目先の利益だけしか見ていない人間には、難しいと思う。

 日本でのIT対応の遅れは、まさに認識の問題で、認識を持った人が
強い意志を持って実行に当たらなければ、できないと思う。アフガニ
タンに散った中村医師は、意志と行動力の人だが、人類愛と大きな視点
も持っていたと思う。
 日本の今の状況が国難というのであれば、そういった国士が出てくる
ことが待望される。