内部通報制度が、ある程度の規模以上の企業に設置が義務づけ
られることになった。制度を設けること自体は、いいことだと
思うが、通報者に対する保護を含めて、制度を有効に機能させる
ような仕組みが大幅に欠けており、やっている感が強いと思う。
なぜ、このような形になってしまうかと言えば、経営者や国に
抵抗感があるためだと思う。言い換えれば、脛に傷を持つ人や
身内の恥を晒すことに抵抗がある人が多いということだ。
経営者不正に対応して、内部統制の強化が言われ、内部統制報告
制度のようなものも作られたが、十分に機能しているかどうかは
企業の本気度で違いがある。まして、行政機構は、昔ながらの
性善説的な考え方なので、不正が後を絶たないため、この内部通報
制度は、かなり有効な制度なはずだが、利用者保護を軽視している
ということは、本気で取り組む気がないということだと思う。
政府も行政改革を行うのであれば、こういった内部統制面にも
手をつけるべきだが、基本的に自分たちに都合の悪いことは取り上げ
ないので、いつまで立っても改善が進まないことになる。
行政改革を含めて、政府に期待できないことは、民間サイドで
積極的に改善提言をするなり、補完的な機能を整備していくような
動きが必要ではないか。
内部通報制度は、社内に通報窓口を設ける企業が多いが、これでは
うまく機能しないと思う。中立的な第三者機関に窓口を設けて、
かならずそこを経由するようにし、事後フォローをして通報者に
対する保護が十分に機能しているかということをチェックするように
すればいい。会社が設置している制度にかかわらず、民間に通報窓口
を設けておけば、後で訴訟が発生した場合にも有効になると思う。
森友学園の問題でも、内部通報制度が機能していれば、自殺するほど
悩むことにはならなかったのではないだろうか。
内部通報制度を含めて、行政機関の内部統制を改善し、国民に対し
開かれた行政府にすることは、我が国の将来にとって重要なことだと
思うのだが、どうなるだろうか。