新しい生活様式は定着するだろうか

 緊急事態宣言が多くの県で解除されることになったが、
解除されそうにない東京でも、人々は耐えきれなくなって
出歩いているし、生活のために活動する人も増えている。

 人によっては、大規模な活動自粛をやり過ぎだという
人もいるようだが、それは自分自身が現場をもっていない
気楽さではないかと思う。一方で、政府も直接的には現場
を持っていないため、受診の目安を誤解などという無神経
に表現してしまっている。

 解除後の感染拡大予防措置として、専門家会議は新しい
生活様式を提言しているが、果たして定着するかどうか
怪しいところがある。
 業種ごとの感染拡大予防ガイドラインは、関係団体が別途
作成予定と、小さく脚注しているが、経済関係のメンバー
を入れていない専門家会議としての限界を感じていると
見るべきか、それとも政府の専門家会議の位置づけと
メンバー選定の誤りと見るかは、人によって違うかもしれ
ない。

 いずれにしても、重要なのは、この業種ごとのガイドライン
が、実効性と合理性があり、全ての業種に対して作成される
かということだが、直ぐに作成されるのは、一部の業種に
止まるのではないか。
 そうなると、結果的には、それぞれの人や会社が自分たちに
都合よく新しい生活様式を解釈をするなりして、全体としての
実効性が落ちていくのではないかと思われる。
 ただ、今までも強制力がない中で、ここまで来ているので、
それほど気にすることはないのかもしれない。

 現時点で重要なのは、リスクシナリオを描いて、時間的な
猶予をどこまで得られるかと、具体的にどこまでやれるのかを
詰めていくことだと思う。
 やれ検査だワクチンだ、治療薬だといった個別の議論に入り
込みそうになるかもしれないが、大局観を持って、何をして
いけないのかを見ていかないと、対応を誤るかもしれない。

 経済的な負担を大きくしたのは、大局観がなく、全国に緊急
事態宣言を拡大したことではないかと思うし、国、県、市町村
といった枠組みを超えた仕組み・システムを構築してない結果
ではないだろうか。
 
 真に求められるのは、新しい生活様式ではなく、今後の明確
なビジョンと対策だと思う。