情報の活用と個人情報保護

 新型コロナウイルスに関連して、情報の活用と個人情報の
保護に関する問題が多く出てきている。
在宅勤務がスムースにできるには、情報インフラが整っている
ことが必要だが、そこにはセキュリティをいかに確保するか
という課題もある。

 最初に問題が生じたのは、愛知県で感染者の個人情報を
間違って公開してしまったということだが、これは論外とも
言うべきで、管理態勢ができていなかったということだろう。
 但し、情報管理態勢というのは、言うほど簡単ではなく、
人為的なミスや詐欺に引っかかるケースも多いし、電子メール
による不正サイトへの誘導やウイルスの取り込みなどは、そう
簡単には防げない。

 

 ウイルス対策として、個人にアプリを持たせ、地域や行動管理
を行っているのは、中国だが、中国は監視カメラの映像と合わせて
完全に個人を管理体制化に置こうとしているように見える。
 ウイルスを制圧するというよりは、人間・思想を制圧している
ようで、とても同調する気にはならない。

 韓国でも、感染者がどこの店舗に立ち寄ったとかいう情報を
スマートフォンで確認できるようにしているとか、感染者を特定
するために電話会社から位置情報の記録を提供させているという
話を聞くと、そこまでやっていいのかと思う。まあ、本人が同意
していれば、いいのかもしれないが、恐らく公序良俗ではないが
緊急事態であれば、私権は大幅に制限される国のようだ。

 

 日本でも、スマートフォンアプリで、感染者と接触があれば、
通知される仕組みを提供するようだが、逆に言うと自分の行動
情報が誰かに捕捉されているということになる。現在でも、携帯
電話会社は、スマートフォンの発する位置情報を把握できる仕組み
になっているので、大まかな行動管理はしようと思えばできるが、
法律上できない。この手のアプリは、相当多くの人間が入れないと
効果がでないので、結果として作りましたで終わらないといいが。

 

 日本は、不要不急の外出自粛という強制措置を伴っていない措置
だが、諸外国では罰則まで付けた強制的な外出禁止を取っている
ところが多く、韓国では自宅隔離を求めた人間をスマホアプリで
行動監視し、違反した場合は逮捕するというケースまである。

 感染拡大防止という社会的な利益のためには、個人の自由や権利
が制限されるのはやむを得ないというのが、ここ最近の動向である。
もっとも、感染拡大防止より、経済活動優先という人もいるので、
何を優先し、何を保護するのかは考え方次第ということのようだ。

 

 これとは別に、最近問題になっているのは、感染者を含めてネット
による誹謗中傷の問題かと思う。これも、発言者が匿名である
一方、誹謗される相手は実名であることに、そもそもの原因がある
と思う。匿名による発言は、発言者への誹謗中傷などを護るという
点では意味があるが、逆に発言者が誹謗・中傷を行うことは、言論の
自由があっても、許されることではない。
 よく、言論の自由で、何を言っても許されると勘違いしている人が
総理大臣や大統領のような地位の高い人にもいるが、言論の自由の前に
言論の内容は、相手を誹謗中傷するようなものであってはならないし
真実に基づかないものであってはならない。それは、単に謝罪すれば
済むというものではなく、反省して自らの行動を律するようでないと
他の人から信用されなくなってしまう。
 ツイッター社が、警告を出していることに賛否はあるようだが、
自ら律する人間が少ないようであれば、それもやむを得ないのでは
ないだろうか。

 

 話がそれたが、情報の活用という点で、マイナンバーカードによる
特別給付金の申請は、効率的になるはずのものが、個人情報を管理する
自治体毎のシステムと連動していない為に、かえって効率が悪くなると
いう結果になっている。この点は今後改善されるのだろうか。

 元々、地方自治体のシステムは、地方分権的な考え方で、統一的な
システムの開発がなされてこなかった経緯があるが、行政改革を考える
上で、重要なテーマであるはずなのが、進展していない。特区による
スマートシティもいいが、こういった基本的なシステムの開発と組合せ
たものでないと、意味がないと思う。本当に必要なものは何かという
ことを考えないと、獣医学部の新設ではないが、地域の獣医師不足
解消につながるものになってないように、実績作りと一部の利害関係者
の利益につながるものになってしまうのではないか。

 

 情報の活用は、今後のライフスタイルを考えていく上でも重要だが、
前提として個人の情報リテラシーが高くなる必要があり、それは個人の
情報保護についてのリテラシーも含まれると思っている。情報を悪用
する人間がいるという前提で情報保護があるが、現状は、勝手な解釈が
横行しているために、ネットでのフェイクニュースや誹謗中傷が絶え
ないのではないだろうか。
 世界的なスタンダードができるまで、今後も思考錯誤が続いていく
のではないだろうか。