安倍総理の辞任表明に思う

 安倍総理大臣が辞任表明をしたことで、コロナ騒ぎが一段落したか
のような状況だが、辞任に際して表明された新型コロナウイルスへの
対策についての評価は、内容があるものではなく、今までも対応が
課題ではないかと言われたことを何とかしますといった程度にしか
感じられなかった。

 これまでもそうだったが、具体的な内容と期限が曖昧なままに、こう
したことをやりますという、やっている感しかないものが多い。
 感染症法の指定見直しは、対策として何が必要で何が必要なかった
のかという点を踏まえて、必要ならば新法で対応してよかったものだ。
 国民全員分のワクチンを確保したとしても、ワクチンの効果も副作用
も何も明確でない中で、そのようなものが対策になるのか評価しづらい。
 本当に必要なことは、現状と今後予想されるインフルエンザの発生を
どの程度に仮定した場合に、どのような具体策を取る必要があるかという
ことを説明すべきものであった筈だ。総理大臣を辞職することが重要だ
というのであれば、新型コロナウイルスへの対応は、別にやるべきでは
なかったのではないか。
 

 現状の政府の体制に問題があるのが、これまでの新型コロナウイルス
対策への対応で明確になっている筈で、それを温存したままに、次の
総理大臣が選任されるまで自分がするというのもずれていると思う。
 ハッキリ言って、総理大臣が本部長で、官房長官厚生労働大臣
担当大臣の3人が副本部長といった組織体制は、実務態勢としては問題
がある。本部長は、総理大臣でなく実務能力の高い誰かを指名して
そこに権限を集中させて、課題も集中的に検討するようでない限り、
有効な対応は望めないと思う。

 GOTOトラベルの混乱も、結局は総理大臣の指導力のなさと、副本部長
が3人もいることから生じたものだと思うが、これを見直さないで、感染
症法の指定の見直しをしているようでは、いつまで経ってもウイルスは
収束しないと思う。

 

 経済の活性と感染拡大の抑止の両方を望むならば、二兎を追うのでなく
どのようなプロセスを取れば、両者を実現できるかを考えるべきで、単に
補助金を出して観光需要を喚起するといったことは浅知恵にしか見えない。

 感染拡大を抑止しながら需要を喚起するためには、旅行者が安心して
出掛けられる基盤を作ることが最優先で、そのためには、単なるガイド
ラインではなく、政府が保証して安全な観光地を確保し、感染していない
人を送り込めるような手段を確保することが一番の方策だと思う。

 そのために必要なことと法的な手当てを整備することを考えない限り、
何時まで経っても、この問題は解決しないと思う。例えワクチンができた
としても、ワクチンは感染者を予防するものではないため、ワクチンを
打てない人間は、いつまで経っても旅行ができないということに、なる
のではないだろうか。