2位じゃだめなんですか?

 スーパーコンピュータの富岳が、計算性能で世界一になったことが
大きく取り上げられ、合わせて京の開発の際に、2位じゃだめなんですか
と問われたことも取り上げられている。

 京は、2位じゃだめなんですかという問いが、猛反発に会い、結局
開発されて1位の性能は記録したものの、やがて米中の新機種に抜かれて
しまった。
 性能記録が世界一かどうかは、金をつぎ込めばある程度達成できる話で
来年には米国で新機種が登場して、抜かれるという予測がある。そういう
意味では、真に重要なのは、京の開発にかけた国費の費用対効果が十分
だったのかということだろう。
 京の場合、開発当初から実用面で課題が指摘され、実際に開発した富士通
は商業的に失敗し、導入数は限られた。その反省を生かして、今回はCPUも
ソフトも、より汎用的なものに変更された。

 つまり、自分の金を注ぎ込んで開発するのであれば、単純な性能が高い
ことを誇ってもいいが、ランニングコストや利用のしやすさを考えて、費用
対効果がどの程度あるのかが、十分に説明されなければならない。
 2位じゃだめなんですかという問いは、裏返すと、そのような説明が
担当官庁からできなかったのと、費用対効果という視点が不足していたこと
を突かれたのだと思う。

 コンピュータのサーバーを置くセンターは、大量の電力を消費することが
前提のため、電気料金が安い場所に設置するという傾向もある。昔はCPUを
高速化すると、電気の消費も多くなるため、京の電力当たりの性能はトップ
クラスといっても、3万世帯分の電力を消費し、1日の電気代は600万円に
なるという。開発費を含めてそれだけの効果が十分発揮できたのか、税金を
投入する場合、いい話だけ報道するのでなく、施策全体の評価をもっと説明
するべきではないか。

 もっとも、当時問題になった京の開発費は1120億円で、富岳は1300億円と
いうので、アベノマスクに数百億円も支出する位なら、安いものかもしれない。