新型コロナへの対応 ― 2022年4月

 

 久しく新型コロナウイルスに関して書いていない
ので、少し考えを整理してみたい。
 私は、基本的にこのウイルスへの対策は、検査と
隔離が基本だと思っていた。
 但し、通常の概念とは少し違い、スクリーニング
ゾーニングの対応でいけると思っていたのだが、
それは感染規模をある程度小さい範囲に抑え込めれ
ば、対応可能ではないかと思っていたからである。

 感染規模が大きくなると、中国でやっているよう
な大規模ロックダウンが必要になるため、日本では
そういうことが無理だと思っていたからでもある。
 ところが、今や感染力が強い変異株に対しては、
ロックダウンでも不十分な状況になっている。


 このウイルスの特徴は、感染者でも症状が出ない
場合が多く、しかもそういった感染者が他人にも感
染させるケースがあるということだ。
 このため、感染対策が極めて難しいと言える。

 初期の頃も、無症状者が感染させるケースは認識
されていたが、感染力が強くなってくると、検査で
見つける間に感染者が増えてしまうので、検査と隔
離だけでは対抗するのが難しくなってきている。
 例えば、検査の陽性率が30%にもなるということ
は、相当数の検査未受検者がいて、潜在的に感染を
拡大させていると思った方がいい。


 こうなると発想の転換をして、重症化しないので
あれば、感染を許容して軽症で済ませることしかな
いと考えてもおかしくない。
 そのためには、ワクチン接種で重症化を予防し、
軽症で済むような治療薬の開発を行い、入院患者の
規模を抑えることで、社会的な影響をコントロール
する、つまりインフルエンザに近い対応になると言
えるだろう。

 世界は、この方向で走っているようだが、中国は
相変わらずゼロコロナ政策を堅持しようとているた
め、社会的な影響が大きくなり、世界経済にも影響
してきている。
 また、先進国はワクチンの供給が優先的に行われ
ているが、世界的に見れば供給不足と言える状況な
ので、重症化を抑えられないとか外部から感染が持
ち込まれるというケースは、なかなか無くならない
と見られる。
 中国製ワクチンの効果と医療インフラの脆弱性
ゼロコロナから脱却できない理由とも言われている。


 日本の場合、もともと低年齢層や若年層へのワク
チン接種が遅れているので、ある程度感染者が増加
するのは仕方ないと思われるが、政府としての方針
が定まっていない方がより大きな問題だと思う。
 この部分は当初から問題の本質が変わっておらず、
誰が責任をもってリードしていくのかが曖昧なため、
対応が定まらないのは、3回目のワクチン接種間隔
が二転三転したのをを見てもわかると思う。

 分科会はあくまで諮問機関なのだが、そこで方針
を決めるようになっては、機動性と責任が曖昧にな
るに決まっている。
 会議は、一見民主的で、英知が集まるような錯覚
をするが、国会審議や閣議決定の一部を見ればわか
るように、お粗末なものもある。
 必要なことは、目的が明確になって、プロセスを
合理的に説明できることで、そのためには能力ある
人が責任をもって速やかに決定し実行することだと
思う。


 総理大臣が全てを決定し実行できるとは、誰も思
っていないにもかかわらず、形式的にやろうとする
のを見ていると、日本の未来は明るくないと思って
しまう。