太陽光パネルの設置義務化に思う

 

 東京都が新築住宅への太陽光パネル設置義務化を
政策として打ち出してきたが、賛否がある。
 私は、太陽光パネルの設置自体はいいと思うが、
義務化するには、いくつか条件があると思っている。
 
 政府の決めた買取価格が高かった時期に、太陽光
パネルの設置が進み、地域によっては電力会社が買
い取り制限をしているのだが、電気は都市部の需要
が高いのに比べて、発電量が少ないので、設置義務
化で発電量は増えるだろう。ただ、投資効率には疑
問がある。
 もっとも、都市部で住宅を新築する人は経済的に
余裕があるので、効率以前の問題として、社会的な
要請ということで、自然エネルギーの活用を促すと
いうことはあってもいいかもしれない。


 自然エネルギーの活用ということで、太陽光発電
風力発電を行うことはいいかもしれないが、太陽
光発電の場合は、天候の変動で出力が大きく変動す
るため、その緩和策を用意する必要があると思う。
 例えば、安価で大容量の蓄電池や、スマートグリ
ッドのようなネットワークが必要だ。
 そういったものを用意しないで、単にパネルの義
務化をするのはいかがなものだろう。
 本来、こういったものは、地方自治体というより
国が、大きな枠組みを作って推進・導入すべきだと
思うのだが、日本のエネルギー政策は迷走状態にあ
るように感じてしまう。


 太陽光の推進は、ニュータウンのようなところを
特区にして、実証実験を進め周辺に拡大していくの
がいいのではないかと思う。
 街全体がスマートグリッドでカバーされているこ
とで、発電都市ができる可能性があるし、さらに検
討すべきは、直流電気の活用と電力周波数の統一化
への布石にもなるのではないかと思う。
 日本の場合、電力周波数が東西で異なっているた
め、電力融通のボトルネックになっている。
 中国のような国家統制があれば、命令で一本化が
できたのだろうが、日本では難しかった。
 技術の進歩で、ハードルが低くなってきている今、
そういったことも視野において進めていくことも、
必要だと思う。


 九州や東北などで、太陽光発電の出力調整をする
というのも、現状ではやむを得ないのかもしれない
が、電力会社を地域分割した状態のままでは、基幹
送電線網を構築するのは難しそうな気がする。
 特に、巨大電力会社である東京電力が、原発事故
による負担を抱えていることも大きいと思う。
 基幹電力網は、国が整備をして電力会社から利用
料を取るような方式にしないと、電源周波数の問題
からも進まないのではないだろうか。


 太陽光パネルの問題は、導入だけでなくリサイク
ルという面でも問題があるため、これも国が主導で
全体的なシステムを構築する必要がある。
 ウクライナ問題を契機に、国防費を引き上げよう
という話もあるが、電力の問題は、安全保障にも直
結しており、もっと真剣に取り組むべきだと思うの
だが、原子力一つをとっても、色々な思惑があって
結論が出せないでいるように見える。
 こういった問題に、大きなビジョンを示して取り
組む政党が出てくるといいと思うのだが、どんなも
のだろうか。