衆議院議員選挙に思う

 

 久方ぶりに衆議院議員選挙があるようだが、いつも思うのは
この選挙は、議員を選ぶのか政党を選ぶのか、どちらなんだろ
うかと。
 私は、基本的に支持政党がないのだが、だからと言って、ど
の候補者でもいいという気にはならない。
 自分の考えにできるだけ近い人を選びたいのだが、そのため
の材料と言えば、ペラペラの選挙公報といつ放送されるのかさ
え分からない政見放送位しかないというのはいかがなものか。
 こうした現状の選挙制度には欠陥があると思うのだが、一向
に改善されるような気配はない。
 デジタル庁を設置するのもいいが、選挙についてのデジタル
化は全く話題になっていない。こういったことが日本の成長の
停滞を現わしているようにも思える。


 政党の公約のようなものも発表されるのだが、それも中央選
挙管理委員会が、まとめてホームページに公表しておいてもら
えれば、時間のある時に見ることができるし、各候補者の政見
放送だって、NHKプラスで見れるようにするとか、各地の選挙
管理委員会のホームページに動画で掲載しておいてもらえれば
いいようなものだと思う。
 インターネットを使った選挙活動を候補者個人がすることは、
制限されているようだが、もうそろそろできるようにしても、
いいのではないだろうか。
 候補者個人について言えば、特定の問題についてどのような
見解を持っているかを知りたいと思うのは私だけだろうか。
 政党ごとの見解があったりなかったりするが、原発のように
政党の統一的見解がないものもあったりする。
 一般に、都合の悪いことや訊かれたくないことは言わないで、
向こう受けするようなことを言うことが多いが、それは本来ある
べき姿ではないと思う。


 投票についても、電子投票を推進しようという機運はないし、
住民票を移していない学生のような者の投票の便宜を図るには、
マイナンバーカードを併用した電子投票が一番いいと思うのだが、
誰も言い出す人がいないのではないか。
 若者の投票率が低いなら、具体的に改善する方策を検討すべき
なのだが、投票率が高くない方がいいと思っている人がいるので
進まないのだと思う。
 一票の格差の問題は、大きな問題だと思うのだが、住民票を
移さないで、投票を棄権する人間の存在は、格差を実質的に拡大
していると思う。また、今回の選挙は、区割りの見直しが行われ
ないので、格差を引きずったまま行われるということになる。


 選挙制度は、民主主義の根幹をなすように思われているが、
実際には現職議員の都合のいいように操作されてきている面が
あり、前回の参議院議員選挙では、区割り変更による現職議員の
救済のために定員を増やしてしまった。
 さらに、合区に反対して、法改正により各県1名の枠を設け
ることで、格差是正を封じようという動きもある。
 衆議院選挙が終われば、また、そういった動きも出てくる可能
性がある。
 議員が減ると地方の意見が届かなくなるということを言う人が
いるが、国会議員を通して反映させるしかないという状況になって
いるなら、そのことが問題という意識がないとしか思えない。
 本来的には、議員がいるいないにかかわらず、地方の意見を
吸い上げ政治に反映させる仕組みが必要なのであって、そういう
仕組みを作ろうという考えがないのだと思う。
 議員がいたとしても、政党が違えばその地方の意見が十分に
反映されるかどうかわからないのは、沖縄を見てもわかるだろう。


 選挙の結果がどうなるかはわからないが、選挙制度の見直しを
含めて、本質的な議論をするようにしていかないと、バラマキ的
ポピュリズム政治が蔓延ることになるのではないかという危惧
がある。