銀行のサービス低下

 みずほ銀行のシステム障害で、多くの人が通帳やキャッシュカード
を取り込まれてしまい、ひどい目にあったという。
 私は、みずほ銀行に口座を持っていないので、みずほ銀行のATMを
使う機会は少ないのだが、頼まれて預金の引き出しや通帳記帳に行く
ことはあり、つい2日前に行ったばかりだったので、難を避けられて
よかった。

 銀行のシステムで、暗証番号を何回か間違えてキャッシュカードを
取り込まれたという話はよく聞くのだが、今回のように取引の途中で
取り込まれて、何時間も待たされるという話は聞いたことがない。
 みずほ銀行のシステムは、一昨年にできた最新のシステムなのだが
モリーが足りなくなってこういう状況が起きるというのは、エラー
処理の設計が悪かったとしか思えない。
 普通のシステムなら、時間がかかった場合は、タイムアウトで一旦
処理中止にするか、入力データが制限されるのではないだろうか。
 また、CPUの処理状況も、メモリー使用量もモニターされており、
閾値を超えればアラートが上がって、外側のオペレーションが発生し
リカバリーするのが普通ではないだろうか。

 いずれ、金融庁が報告命令を出しているので、詳細が明らかになる
とは思うが、システムトラブル以上に問題なのは、顧客対応だと思う。


 長引く低金利で、銀行の収益が低下している事もあり、各銀行とも
無料のサービスの縮小や店舗の統廃合を進めている。
 やむを得ない面があるとは思うのだが、一方で顧客に対する説明や
顧客志向が欠けていると思わされることが多い。
 今回のケースも、休みの日のある意味想定外のトラブルだったとは
言え、顧客志向の低下が顕在化したのではないだろうか。

 こんなことを書くのも、このトラブルの2日前に、通帳繰り越しで
面倒な思いをしたからだ。
 母に頼まれて、預金の引き出しと通帳記帳をしに地元のATMに行った
のだが、引き出しはできたものの通帳が一杯になっていて、繰り越し
処理が必要になった。通帳繰り越しは支店に行かないとできない。
 そこで、電車で1駅乗って支店に行くことにしたのだが、みずほ銀行
の支店は駅の東西に2店舗あったのが、統合されて新しくできたビル
に移ったのだった。


 初めて行く支店は、銀行の単独ビルではなく、8階にあることは
わかっていたのだが、ビルの入り口から迷ってしまった。
 横にあるビルの入り口は、エントランスホールにエレベーターが
並んでいるだけで、どうすれば銀行に行けるのかよくわからない。
 とりあえず8階に行けばわかるだろうと思って、エレベーターの
前に行ったのだが、どのエレベータも7階までしか行かない。
 他のところに上の階に行くエレベーターがあるのではないかと思い
探してみたがみつからない。
 ようやく壁にある図で、どうも7階まで行って、乗り換える必要が
あることに気が付いた。

 7階に行って、8階へ上がる階段がないかと見たが、どうもなさそう
なので、端の方にあるエレベーターに乗って8階へ上がったのだが、
支店の入り口の前には、お客さんが列を作って並んでいる上に、窓口の
待ち時間は60分待ちといった表示が出ている。
 これはまずいと思ったが、店の中の係員に通帳繰り越しをしたいと
言ったら、1台ある通帳繰越機に案内してくれた。前に2組しかいない
ので、早くできるかと思ったのだが、老人2組はゆったり操作するため
思ったより時間がかかった。
 とりあえず、通帳が飲み込まれることもなく新しい通帳に記帳ができ
たのだが、昔の店舗と比べて広くなったわけでもなく、駅からは遠くなり
確実にサービスが低下したということを実感した。


 あとで調べたら、昔の駅前店舗にATMコーナーがあり、通帳繰越機
も1台設置されていることがわかった。次回からは、そこに行くことに
するつもりだが、とにかく案内が少ないし分かりにくいのは、銀行の
体質なのではないかと思ってしまった。

 
 みずほ銀行は私の口座ではなかったが、通帳繰越機が使えるだけまし
と思えるところもある。
 私の口座は三菱UFJ銀行にあるのだが、私の苗字は通帳の印字機が対応
しないため、通帳繰り越しは窓口に行く必要があるのだ。

 三菱UFJ銀行も、駅の東西3店舗あった支店を1店舗に集約したため、
窓口が混むようになった。できれば通帳繰越機で対応してもらえるよう
にして欲しいのだが、おそらく要望してもやってくれないだろう。
 昔は、通帳繰越機が対応できるように、当用漢字にあるような字体で
登録していたのだが、役所のお達しでもあったのか、戸籍と同じ字体で
ないといけないということになり、変えさせられた記憶がある。
 みずほ銀行は、そこまで杓子定規でないようだが、当行ではやむを得ず
窓口で通帳繰り越しをすることになってしまった。

 窓口で待つのは仕方ない面はあるが、支店統合で窓口が混雑し、座る
スペースも満足に無くなってしまい、おまけに待つ椅子も止まり木的な
腰掛けることのできないものになって、居心地の悪いことこの上ない。
 
 銀行にしてみれば、通帳はできるだけ廃止して、ネットでの検索や
保管にさせたいと思っているのだろうが、紙には紙の良さがある。
 いちいち機器を起動させる必要ないし、目に優しくて、コピーを取る
のも簡単だ。
 ネットバンキングもやっているので、入金確認などはしているのだが、
通帳が廃止されたら、確定申告に備えて、過去のデータを全てダウン
ロードした上で、適宜印刷する手間が出てくると思うので、通帳を止める
ことはないだろう。


 銀行サービスの有料化や縮小は、今後も続くと思われるが、背景に日銀
の出口戦略なき低金利政策があることを忘れてはならないと思う。
 債券市場に介入し、株価の買い支えをしている日銀は、政府を向いて
仕事してはいても、金融業界全体を見て仕事をしているようには見えない。
 異次元緩和を7年も8年も続けるのは、異次元などでなく低次元緩和だと
思うが、日本中で先送りを続けてきているようでは、麒麟は現れないだろう。