運と努力と縁

今週のお題「試験の思い出」

 

 試験というと真っ先に思い浮かぶのは、入学試験。
中学までは義務教育だが、高校、大学は試験がある
のが普通だし、最近は教育熱心な親が多いので、小
学校から受験する子も多い。
 かく言う私も中学から受験したし、自分の子供も
小学校や中学を受験させている。
 私自身は、公立でいいと思っていたのだが、息子
の小学校で、あまり程度のよくない担任に当たった
こともあり、中学受験もやむを得ないかという気に
なった。
 うちにはこれと言って財産がある訳ではないので
子供に残せる唯一のものが、教育という思いだった
のだが、親の心子知らずという気もしている。

 
 入学試験を何度も経験してみると、この試験は運
だなと思わせることが何度もあった。
 入学試験は、選抜試験と言う人もいるが、基本的
には、ふるい落とす試験なので、特に優秀な人でな
ければ、運が左右するような気がする。
 私の場合、中学受験は筆記試験に加えて親子面接
があったのだが、最初は母が同席することになって
いたのだが、直前になって嫌だと言い出したため、
夫婦喧嘩が始まった。
 結局、父が会社の会議に遅れて出ることで、面接
に同席したのだが、弁の立たない母だったら受から
なかったかもしれないという気がした。

 勉強が出来る方ではないので、一浪して大学に入
ったが、いくつか受験しても全部に受かった訳では
ないし、予備校の判定度が高いから必ず受かるとい
うものでもなかった。
 結局、試験に出た問題がうまく解けるかどうかは
運もあるという気がする。

 息子の場合も、受かると言われていた学校に落ち
たのだが、結局志望校に入ることができたのは、運
もあるかと思わせる。
 娘の場合、小学校から大学まで行ける学校に入っ
たのだが、大学は外に出たいということで受験をし
たのだが、浪人する破目になった。
 浪人中もそれほど成績が良いわけではなかったの
だが、運よく学校推薦の枠で受験したら合格してし
まった。
 予備校の指導していた職員の人は、厄介なのが片
付いて大喜びしたという。

 運で入った者は、入ってから成績が振るわず、苦
労することも多いので、入ることが幸せとは限らな
いと思うが、良い友達を得ることができれば、それ
が何よりだと思う。
 

 資格試験は、入学試験と違って一定のレベルにあ
るかどうかを問うので、コツコツと努力を重ねた人
であれば、受かりやすいと思う。
 私は、システム関係の部署に配属されたのだが、
自分の実力がどのレベルにあるのか確かめたくて、
6年勤務した異動後に情報処理技術者試験を受験し
たことがある。
 合格しても仕事に役立つかどうか分からなかった
のだが、その後の仕事にも役立った。
 一見関係がないと思えるようなものでも、あとで
役に立つというのはよくある。
 私の場合は、今流のデジタルトランスフォーメー
ション的な仕事をすることができたのは、資格取得
で自信がついたおかげもあると思う。

 資格がないとできない医師とか弁護士とかの専門
職も、試験に受かって終わりではない。そこから実
務経験を積み上げていって、はじめて一人前になる
のだ。
 資格試験は一つのスタートラインで、長く続けて
努力していく必要があると思った方がいい。
 

 就職試験は、運や能力もあるだろうが、縁も大き
いと思う。
 縁故採用という言葉があるように、百パーセント
縁というケースもあるが、日本の場合、就職という
より就社的な面が強いので、その会社に入るのも何
かの縁があるような気がする。

 私の場合は就職難に直面したのだが、最悪の時は
アルバイト暮らしでもいいと思っていたにもかかわ
らず、親からしてみれば就職浪人なぞ許さないとい
う感じだったので、遅れて就職活動を始めた。
 そもそも就職でなく就社なので、どこを受けたい
という気がはっきりしなくて、公務員とか公社とか
金融機関のような堅いところを周って、いくつか受
けたのだが、どうもしっくりこない感じだった。

 結局、特殊法人に入ったのだが、面接では落ちた
ものの追加のペーパー試験の成績が良かったので、
追加合格することができた。
 試験の成績が良かったのは、先に受けた公社の試
験の数学がそっくりの問題だったのだ。
 運がいいのか悪いのか、どこかに入らないといけ
ないという感じだったので、面接ではそのことは黙
っていたのだが、数学の出来とコンピュータの経験
を買われて、システム部門に配属になったのは、仕
方ないことだった。

 ただ、そうして入った会社だが、10年位で転職
しようと思っていたのに、ズルズルと30年ほど勤
めるようになったのは、上司、同僚、友人のおかげ
もあった。
 その後、内部監査の担当を最後に、システム会社
の内部監査部門に転職したのだが、かつて配属され
たシステム部門の取引先だったので、これも縁とし
か言いようがない。