東京は、自慢するような地元ではないけれど、いいところもある。

今週のお題「地元自慢」

 

 昔から、「出身はどこですか」と聞かれて、「東京です」
と答えると、「江戸っ子ですね」というリアクションが返っ
てくるのだが、私自身には違和感がある。
 東京に三代住まないと、「江戸っ子」とは言わないという
ことも言われて、確かに祖父の代から東京に住んではいるの
だが、皆転勤族のため、仕事が落ち着いてから住んだいて、
住所も違うし、学校も住まいの近くになく、小学校からの友
人もいない。
 という訳で、地元意識がない浮遊人みたいなところがある
ので、地元自慢と言われると困ってしまう。


 とりあえず東京を地元として、自慢できるようなところは
何かと思っても、今は情報が溢れていて、東京に住んでいる
人も多いため、自慢でもなんでもないのではと言われそうな
気がする。
 また、自慢というとスノッブな感じがあるので、それより
は外部から見てここはいいなと思う点をあげてみたい。


 転勤で地方に行くと、それぞれいいところがあるのだが、
都市の規模によっても違うし、近くに大都市があるかどうか
でも違うと思う。
 東京がいいのは、美術館、博物館、劇場、ホール等が数多
くあるので、出かける機会に恵まれているということだろう。
 劇場のチケットは確保が大変な場合もあるが、それでも足
代や宿代と時間をかけてということを考えれば、はるかに恵
まれていると思う。
 リモートやテレビ等では味わえない臨場感は、コロナ禍で
皆が一番求めていたものだろう。
 地方公演のようなものがある場合はいいが、限られていた
というのが実感としてある。


 それ以外では、街がいくつもあるという点だろう。銀座、
渋谷、新宿、池袋、日本橋、浅草、上野、などそれぞれの街
に個性があって、多様なニーズを満たしてくれる。
 一方で、東京だけでなく、近県や遠方から多くの人が集ま
るために、混雑や混乱があったりするというデメリットもあ
るのは仕方ない。
 私自身は人込みが好きでないので、できるだけ土日を避け、
混雑しないであろう時間帯に出かけることにしてはいるが、
それでも関心が高いものは、混雑してしまう。 
 何でこんなに人が多いと思うのはお互い様なので、同じ機
会を分かち合えたということで満足することも多い。


 東京に住んでいる人は、1400万人にもなるので、世代
や出身、住んでいる街で感じ方に大きな違いがあるとは思う
のだが、地元意識が強いのは、三社祭りのような古くからの
祭礼がある所に住む人ではないかと思っている。
 伝統行事は、どこにいってもある地元の自慢のようなもの
なのだが、東京でも高齢化が進んで、担い手が不足しつつあ
るのは間違いない。
 一方で、新しい文化的な催しも行われてきており、多様化
が進んでいるのを目にするのは楽しみでもある。
 

 人種も含めて多様な人々が織りなす進歩性もまた、東京の
一つの魅力と言っていいのではないだろうか。