新型コロナウイルスへの対応について

 連日、新型コロナウイルスについての報道やお願いが続いているが、
この先どうなるのだろうかという不安を抱く人が多いと思われる。

おそらく、世界的な感染拡大が続いている限り、日本だけが無縁という
訳にはいかないが、政府としての対応策も、専門家会議の提言が、どこまで
反映されているのかわからない。

そこで、我々として、どのように対応していくべきかということを整理してみた。

 

1.ゾーンニング

  密集した場所や換気の悪い場所を避けたうえで、互いの距離をとってということをしきりに、広報しているが、それはそれとして、まず、すべきはリスクを考えたゾーンニングではないか。

 

①感染リスクの高いゾーン・・・レッドゾーン(R)

②感染リスクの低いゾーン・・・グリーンゾーン(G)

③その中間的なリスクのゾーン・・・イエローゾーン(Y)

と分けてみよう。


 先にあげた、密集した換気の悪い場所であっても、感染者がいなければ、
直ちにレッドゾーンになるわけではないが、このウイルスの場合、感染者の特定を検査なしで行うことは難しいので、何もしなければ、リスクが高くなる。

 

  • ゾーンニングは、単に設定するだけでなく、守るべきエリアはどこなのか、厳重に管理すべきエリアはどこなのかという識別にもなる。そして、ゾーンの管理者がゾーン利用者のスクリーニングについても責任を持つようにすることが望ましい。

 

2.スクリーニング

誰も入ることのないスペースであれば、ゾーンニングだけでもいいが、活動している以上どのような人が入ってくるかで、リスクが変わってくる。そこで、必要なのが、ゾーン利用者のスクリーニングである。

 

  • 今、行われているのは、PCR検査によるスクリーニングと感染者の濃厚接触者の追跡による追跡スクリーニングで、加えて、入国者の2週間程度の隔離も検査代替のスクリーニングといえる。
  • 検査を拡大していけば、ゾーンのリスク度合いがより明らかになってくると思われるが、現状は、大きな検査能力がないので、現状の感染状況を踏まえたスクリーニングをしていくしかない。

 

  • 感染状況と行動パターンによるスクリーニングをすると

  (1)グローバル
  (2)ナショナル
  (3)リージョナル
  (4)ローカル

  に分けられる。

 

(1)グローバルは、国外、特に感染地域への旅行者、帰国者で、これについては、リスクが高いため、現状は、PCR検査もしくは2週間程度の隔離を行うのが適切と考えられる。検疫については、国の責任であるが、企業の出張者については、個別企業の管理も求められる。

(2)ナショナルは、国内を広範囲に移動する人で、特に感染が拡大している地域への移動者は、リスクが高いため、一定の注意および監視を必要とする。このタイプについて検査するかどうかは、ゾーンの管理者が判断して、ゾーンのレベルを維持するのに必要ならば、検査または隔離をしていくことになる。
 国内の移動については、現状、特に制限がないので、企業の出張者については、個別企業の管理が、国内旅行については、旅行業者が管理するなり、受入れ先のゾーン管理者がリスクを踏まえた管理をしていくことになる。

(3)リージョナルは、感染地域を含む広域圏を移動する人で、例えば、首都圏の通勤者などが該当する。ナショナルより数が多くなるので、全てを検査をするのは困難だと思われるため、大規模感染を阻止するという観点からは、大規模や濃厚接触にならないように、ゾーンを区分して入れる場所を限定するなり、在宅勤務、遠隔アクセス、集会規模の制限などで対応することになる。

(4)ローカルは、市町村単位以下のごく狭い範囲しか移動しない、もしくは、移動に自家用車だけで、他人との接触が少ない人で、感染地域以外では、リスクが低い人という位置づけになる。

  • 感染地域か否かの判定は、感染経路が不明の感染者が、継続的に発生している地域を感染地域とする。散発的に感染経路が不明の感染者が発生する場合は、感染地域との関係を考慮して決定する。

 

3.対応方法

  • 基本は、ゾーンの管理者とゾーン利用者の両方が行動パターンを意識した活動を行うことで感染拡大を防止していく。
  • リスクの低いグリーンゾーンが維持できれば、それを徐々に拡大していくことになる。一時的に外出禁止をしても、安全なゾーンの確保ができなければ、経済活動が止まってしまうので、いかに安全なゾーンを増やしていくかということを目標とする。
  • 中国のように、一定期間、特定ゾーンをブロックすることができれば、新規感染者をゼロすることができるが、わが国では不可能だろう。
  • 現状、大規模なイベントは一律自粛を要請しているが、やり方次第ではリスクが下げられる。学校の再開も、基本的に感染地域でなければ、予防措置を十分に 取ることで大規模な感染は避けられるのではないか。
  • そうはいっても、感染者が入りこむ余地がないわけではないので、感染を確認した場合は消毒・休校と感染ルートの追跡を行い、再発可能性を考慮して継続を 検討するしかないのは、感染者が確認された企業と同様である。
  • 自粛要請をするのは勝手だが、政府や国会等で大規模に集まって集会をしたり、身内で花見をしているのに、国民には一方的に不要不急な外出を避けろと言っても、あまり説得力はない。自分たちはこう対策しているので、集まってもいいのだと言えるかどうかだと思う。                     
  • 現時点での一番の問題は、感染経路が不明な感染者が一定程度発生していることで、潜在的な感染者の拡大をどのように防いでいくかだが、検査サンプルが多くならない限りどのようなところに感染者が多くいるのかという推定もできないのではないか。
  • 検査サンプルを増やすと、隔離するベッドが足りなくなるというが、これは本末転倒の議論で、検査しようがしまいが感染者は存在するので、感染者を早く特定して対応した方がいいに決まっている。ベッド不足をどうするかは、どう対策するかでしかない。 
  • クルーズ船も早く検査して振り分けしていれば、感染拡大を抑えられたかもしれないし、クルーズ船によるベッド数不足への影響も抑えられたかもしれないのだ。必要なのは、できるできないでなく、何をしないといけないかで、そのためにどうするべきかを考えることに尽きると思う。
  • イベントの中止は、そこで生活している人を困窮化させてしまうし、学校の休校も、関係者の生活を圧迫し、医療従事者の生活を通じて、医療態勢の弱体化にもつながっていることが明らかになった。今求められるのは、リスクをどこまで 許容するかということと、リスクをいかに抑えて活動するかについて知恵を出し合うことだと思う。
  • 飲食店の利用が、直ちに感染拡大につながるわけではなく、そこに感染者が入る余地がどの程度あるかということになる。理想的には、特定のエリアで、特定の者だけが利用できる場所を作るか、宅配などでサービスを限定したやり方を取っていけばいい。
  • 不特定多数を相手に営業する店は、当面、感染拡大を防ぐ意味から、利用者を制限していくしかない。つまり、特定少数とするために、完全予約制で、スクリーニングをある程度かけた者しか利用できないようにするしかない。限界はあっても、リスクがある程度抑えられ経済活動も行える。
  • デパートのような大規模小売店舗はどうするかだが、現状は、無症状感染者を排除できないので、濃厚接触を避け、館内の密度が高くならないようにして、人が触れるところはこまめに消毒する程度しかできないのではないか。
  • イベントも多くが集まることなく、小規模スペースからの遠隔参加、リモート配信などの代替措置を開発して有料サービスで提供していくことが望まれる。


4.無自覚の感染者と自覚症状があっても、医者等にかからない者や自粛を無視する者への対策をどうするか。

  • 無自覚の感染者が一定程度存在するのは、これまでの感染者の調査から見ても明らかで、これが、今回の対策の難しさになっている。問題なのは、これが医療従事者など大規模感染を生む可能性のある人間に発生することで、消毒や感染防止をするのは当然で、従来でもインフルエンザの対策としてワクチン接種などをしてきたのであるから、検査を増加し、さらに兆候を見逃さないようにしていく必要がある。
  • 自覚症状があっても、風邪程度に考えたり、経済的な理由、時間的な理由で医者にかからない、相談窓口にいかないといった人が発生するのを排除するのは難しいと思われる。
  • 従って、これらの人は、ゾーン管理者が、強制的にゾーンの利用を拒否したり、消毒およびマスクの着用などを求めるといったことを義務付ける必要がある。場合によっては、保険所への通報、任意もしくは強制的に検査を求めるといった ことも必要になるのではないか。

以上、個別ケースを考えていくと、様々な問題があるが、具体的にどこまでリスクを取って、何をするかということを明示してあげないと、皆疲弊してしまうのではないかと思う。