感感染拡大抑止と経済活動維持を考える

 このテーマは3か月前にも考察したが、3か月経って欧米での再拡大と
ロックダウンを見ると、かなり大変だと思うと共に、日本でも感染拡大が
再燃して来たことから、再度考えてみたい。

 まず、どうしてこのような状況になっているかというと、各国とも効果
的な対策が打ち出せていないことにあると思う。ある意味、ワクチン期待
とも言えるような状況だが、当初と違って重症化する比率が下がったこと
もあるのか、感染拡大を抑え込むまで人々の行動を制限することができな
かったのが、大きな原因だと思う。

 行動を制限することの難しさは、自由を求める人間と経済活動の維持を
求める政府・企業の思惑があることもあり、どこまでどれだけという基準
が示されないままに来ていることに示されていると思う。
 結果的には、対策が不十分なままに、再拡大を招き、再度のロックダウン
という悪循環に入っているという感じもある。


 日本がこのまま再拡大に突入して、制御不能に陥るかどうかは分からない
が、現状示されている対策は、個人なり企業の努力に期待している以上、
自粛による行動の抑制である程度は効果があっても、決定的なものではない
ので、自然環境の悪化により、拡大は続くとみる方が自然だと思う。

 救いは、重症化する比率が低いことだが、問題は医療態勢が崩壊しない
程度で感染が収まるかどうかだと思う。医療態勢は地域によって差がある
ため、全国的な感染拡大になると、態勢が弱い地域で問題が顕在化しやすく
なると思う。


 政府はPCR検査を集中的に行うことで、繁華街での感染を抑え込んだこと
から、検査の拡大と集中を対策の柱にしているようにも見えるが、検査は
①その時点での結果を示しているに過ぎない、②信頼性が8割程度とすれ
ば、一定程度の漏れがある、③対象範囲をどこまで絞るか難しいといった
問題がある。そのため、効果は限定的になると思う。 

 また、クラスター対策を徹底するようなことも言っているが、対象を絞る
のが難しいのと有効な対策を継続的に実施するのが難しいことから、これも
効果は限定的になるのではないだろうか。


 私は、以前から対策はゾーニングとスクリーニングに尽きると思っている
ので、検査に依存したスクリーニングだけでは難しく、行動スクリーニング
を併用したゾーニングをして絞り込みをしながら、感染を封じ込めていく
範囲を広げていくしかないのではないかと思っている。
 感染を封じ込める範囲がある程度の規模になれば、その範囲での経済活動
は元に戻っていくので、要はいつどこまでそういった状態が達成できるかと
いうことではないだろうか。


 こういったやり方を徹底しているのは中国やベトナムなどの強権国家が多
いが、ニューヨーク州も同じようなやり方だと思う。ただ、民主主義国では
行動制限を完全に行うのは難しいので、漏れが出てきて達成度合いが下がる
のはやむを得ない面がある。

 日本の場合は、いつものようにポリシーがないので、モグラたたき状態に
なることが想起されるが、その結末が結果オーライになるのか、それとも
迷走状態になるのかは分からない。できれば、医療崩壊を招かない程度で収
まってくれることを願うばかりである。
 ゾーニングによる感染対策のないキャンペーンは、マッチポンプ状態では
ないかと思うのだが、責任者はどう考えているのだろうか。