マスクと社会的距離

 政府が全世帯に布マスクを2枚ずつ配ると発表したことから、世の中では賛否両論出ているようだが、私はこう思う。

 同じお金をかけるなら、もっと他にやることがあるのではないかと。

 

 確かにマスクが手に入らないという声は、よく聞くし、実際に店頭に行っても、売り切れていて入荷未定になっていることが多い。

 もともと中国からの輸入が8割だったこともあるが、その後、国内での増産や輸入の一部再開で、例年並みの供給量になってきてはいるが、このコロナウイルス騒ぎで、従来マスクを使用しなかった人もつけるようになっているのだから、極端に言うと十倍以上に需要が膨れ上がっているのだから、足りるはずがない。

 それなのに、増産要請しているからと言い逃れてきたのが実態で、そのため、世の中では手作りマスクが流行って、手芸店では材料不足になっているという。

 

 このタイミングで、出てきた話なので、布マスクでも欲しいという人には歓迎だろうが、マスクに対して元々懐疑的な医療関係者や、仕事がなくて生活に困っている人からは、それよりも他の施策や現金支給をしてくれといった批判が出てくるのは理解できる。

 

 そもそもだが、マスクの効用は、予防でなく、感染拡大阻止なので、非感染者がマスクをしても、予防効果は限定的である。マスクを配っても、感染が疑われる人が着用してくれる保証はないので、もし、配るのであれば、マスク着用を義務付けるのでなければ意味がないが、そこまで踏み込んでないのであれば、ポピュリズムと批判されてもやむを得ないと思う。

 むしろ、欧米で広がっている社会的距離を取るように奨励する方が、費用対効果が高いと思われる。

 

 同じお金をかけるのであれば、検査能力の拡大と軽症者の隔離施設の確保にお金をかける方が、感染拡大防止に効果があるはずで、ピントがずれているとしか言えない。厚生労働省は、自宅隔離等を認めるようになったが、どうみても、対応が遅れている。必要と思われることは、迅速に手を打つようにしないといけないが、そういった態勢ができていないのが、嘆かわしい。

 結局、感染が拡大しても、誰も責任を取ることがなく、混乱が拡大していくことになりはしないかと危惧している。