緊急事態宣言の解除基準は、果たして妥当なのか?

 大阪府が緊急事態宣言の解除基準を示したことで、
政府も14日までに、何からかの基準を示す意向で、
各県から独自の基準が発表されてきている。

 実際に、感染件数が低下してきているし、経済的な
問題もあるので、解除に前のめりになるのもわかるが、
それぞれの数字についての考え方を詳しく聞いた訳では
ないものの、何に重点を置いて判断しているのかは
数字から見えるが、現状をどのように把握しているのか
という説明がないのが、恐ろしい。

 普通に考えると、現在の感染状況は、県民のうち何%
が感染していて、今、解除すると残りの何%が感染する
可能性があるが、これらの対策をすることにより、この
程度に抑えることが出来て、医療崩壊も死者も抑える
ことが出来るので、解除します。
 このウイルスとの闘いは、長期戦になるので、皆さん
生活に制約を受けるかもしれませんが、この程度のことは
我慢してくださいとでも言うべきではないだろうか。

 

 実態は、そうではない。出口戦略とか言っているが、
解除して終わりではないので、戦略としては、長期戦を
覚悟した上での方策を提示しなくてはならないし、単に
感染が拡大したら、また、自粛要請をしますというのでは
戦略になっていないと思う。
 専門家会議による新しい生活スタイルは、戦略ではないし
個別県での戦略は、経済的なものも含めた総合的なもので
ないといけない筈ではないだろうか。

 

 政府も、延長しておいて、新規の感染者が発生していない
県については解除できるようなことを言うのもおかしい。
ならば、最初から全国を対象に延長する必要などないのでは
ないか。専門家会議がどのような位置づけなのか曖昧で、
都合よく判断を任せたり、基準の作成を投げたりしているが、
それなら延長する前に、基準を作っておくべきではなかった
のではないか。

 

 さらに、基準がありさえすればいいというものではなく、
そもそも現在の緊急事態宣言は、何のためにやっているのか
ということすら明確でないのだから、今一度、何のために
やっているのかを確認して、それがクリアできる状況なのか
どうかが分かる基準を示してもらいたいと思う。

 

 ちなみに、私は、このウイルスとの闘いは、長期戦になる
ので、医療崩壊を招かないように、犠牲者を少なくしていく
ための手段として、また、キチンとした態勢ができるまでの
時間稼ぎの手段として緊急事態宣言があると思っているので、
それがクリアできるのであれば、解除すればいいし、特に
休業要請などもする必要がないと思っている。

 強制力を持たない宣言について、あれこれ議論するより、
何をしないといけないかを明確にして、それを実現するため
にはどうするか示し、今どういう取り組みになっているかを
広く国民に周知してもらいたいと願っている。