緊急事態宣言解除後のビジネススタイル

1.本当に解除して大丈夫?

 
緊急事態宣言が延長された一方で、各県で休業要請
等の解除に向けた検討がなされている。

 個別県の状況を踏まえて、解除するのはいいと思うが
気になるのは、各県とも感染の実態を正確に捉えた上での
ことだろうかということだ。
 PCR検査の少なさと共に、抗体検査のような隠れ感染者
の把握につながるような調査もしていないにもかかわらず
表面的な数字だけで解除をしてもいいのだろうか。
 もっとも、現状の対策がどれほど有効なのかも示されて
いないので、解除したから爆発的に感染が拡大するかは
わからないし、増えたら再度自粛を強化すればいい位に
考えているのかもしれない。

 

2.解除後のビジネススタイル

 
それはそれとして、有効な薬や検査手法が開発されて
ある程度落ち着くまでは、制約を伴った社会活動が求め
られていくことになるだろう。それが、新しい生活様式
かどうかは別として。
 これまで、ビジネスは不特定多数の消費者や企業を対象
にして行われてきたが、今後は、特定少数ないし特定多数
を対象にしたものが中心にならざるを得ないのではないか。

 なぜならば、ウイルスは目に見えないため、直接的な
接触をするならば、正体不明の多数を相手にするよりは、
相手が見える付き合いやすい人を相手にする方が、リスク
が小さいと思われるからだ。
 但し、相手がどんなにお金持ちや優良企業といえど、
感染リスクがないわけではないので、どこまで真面目に
取り組んでいるかということと、こちらの意思に応えて
くれる相手であるかが重要である。

 オンラインのネットビジネスや在宅勤務・リモート勤務
ならば感染リスクが小さいかもしれないが、全ての業務が
オンラインで可能なほど、日本はIT化が進んでいないし、
飲食店や医療機関などは、全てをオンライン化することは
難しいと思われる。
 そうなると、当然のことながら店や事業所を管理するには
協力的な相手である必要があるし、リスクがゼロにならない
限り、感染した場合の連絡や協力を期待できる相手でないと
収拾がつかなくなってしまうからだ。

 不特定多数を対象に商売をしようとしたら、それなりの
リスクを覚悟した上で、3密を避けるような工夫をしたり、
消毒の徹底などをしていかないといけないので、それなりに
負担が大きくなる。
 それならば、メンバーシップではないが、常連・固定客を
中心にビジネスをしていく方が、利益は大きく望めないかも
しれないが、確実だと思われる。いずれ、感染が収束したら
やり方を変えればいいだけで、当面はそうしていくのが、
いいのではないだろうか。


 一番問題になるのは、役所の窓口で、これは不特定多数を
相手にすることになるため、オンライン化により、来客を
減らすこと、手続きを簡素化していくこと、また、マイ
ナンバーカードを全国民に交付するように義務化して、
インフラを整備していくことなどが急務ではないだろうか。