感想か妄想か

今週のお題「読書感想文」

 

 読書感想文は、小学生の頃よく書かされた記憶がある。
夏休みに課題図書を与えられ、その感想文を書いて出すのだが、
例によって、夏休みの終わりごろになって、慌てて本を探し
適当にまとめるというのがお決まりだった。

 考えてみると、課題図書というのは、かなり堅いものが多く
伝記だとか小説だとかで、まず面白おかしいものはなかった。
一方で、シャーロックホームズとかファーブル昆虫記だとかの
自分が興味を引くものは、よく読んでいたので、読書が嫌い
とかいう訳ではなかったものの、感想文を書くのが楽しい
ということはなかったと思う。


 たまに、課題図書でなく、自由に本を選定していい時があると
自分の好きなものを選んで、妄想をたくましくできるのが
楽しかった。
 読書感想文に求めているものが、個々人の本を読む力だけで
なく、その本に書かれたものを、どう受け止めて自分なりの
考えにまとめるということであれば、できるだけ妄想の沸く本
がいいのではないだろうか。


 大人になると、感想文というよりは、課題を与えられて、それに
関連する文書を集めて読み解き、考え方をまとめるという能力が
必要になるが、それとて、イマジネーションがないままに、文書
を読んでいると、単なる受け売りになってしまうことが多い。


 そういう意味では、妄想が沸く読書感想文を子供の頃に沢山
書いていると、意外に役に立つのではないかと思う。
 ちなみに、娘の夏休みの宿題を書くのは、兄である息子の担当
だったが、本の内容の一部を取り出して、自分なりの解釈と
感想をつけて書くので、ものすごく早くてうまかったことを
覚えている。
 この才能は、一体誰に似たのだろうかと思ったものだ。