出世について

 出世というと、組織の中で地位が上がり偉くなるというイメージが
強いが、これは元々明治時代からの立身出世主義的な考え方が、今も
強く残されているからだと思う。

 これは、西欧社会でも資本主義社会では、成功して資産家になる
ことが、出世したというイメージで、宗教的な勤勉主義とも重なる
ような面がある。

 

 日本では、小学校の卒業式で、「仰げば尊し」を歌い、その歌詞
の中にも、「身を立て名を上げ、やよ励めよ」といった句が入って
いて、地方出身者であれば、故郷に錦を飾るといった名誉に憧れた
人も多かったと思う。

 何故、こんな事を書いているのかは、菅総理大臣の誕生で、生地の
秋田では、随分盛り上がっているそうだから、まさに故郷に錦を
飾った大出世ということなのだろう。

 

 ただ、前の総理大臣は長くやったのだが、功績はあったにしても、
批判されることも多かった。出世する以前に人間としての評価が
どうなのかということもあると思う。

 アメリカ合衆国の大統領も、成功者であり、大統領にまでなったが
人間としての評価は別だと思う。

 

 そういう事を考えていくと、立身出世より大事なことが沢山あり
そうに思える。

 自分自身は、出世をできるような能力もないので、はなから偉く
なろうとは思っていなかったが、ただ、出世というのは別の意味で
捉えていた。それは、世の中に出て、自分の仕事がそれなりに評価
されるようになれば、出世したと思っていいのではないかと。

 それが1人だけであっても、他人からあなたの仕事はよかった、
あなたのおかげで助かったと言ってもらえるのであれば、十分満足
できると思っていた。

 

 現在の自分の仕事で悩んでいる人は、ただ与えられた仕事を消化
するのでなく、人から感謝されるなり、評価されるなりのレベルまで
仕事の質を高めるようにするといいと思う。
 単純な仕事でも、創意工夫で生産性を高めることで、自分も関係者
も楽になったり、質のいいものができたりするのだから。
 また、将来の仕事のために、訓練や勉強をしたりするのもいいと
思う。関係ないと思った勉強や知識が、意外と別の仕事に役立つと
いうことも多い。

 

 別に皆が活躍しなくてもいいので、それぞれが生き生きと暮らせる
社会になってもらいたいと思う。