あまい人生

今週のお題「あまい」

 

 甘いものが大好きなので、あまいと言えばお菓子を連想するのだが、
今回は、少し視点を変えてみようと思う。
 以前、母親から「お前は人に厳しく、自分にあまい」と言われたこと
があった。

 自分自身は、そんなつもりはなかったのだが、傍から見るとそういう
ところがあると見えたのだろう。
 確かに、自分ができることを他の人ができないと、「何でこんなことが
できないんだ」と言ったことがあったかもしれない。また、人が難儀をして
いるのを見ていても、助けを出さないといったこともあったかもしれない。
 一方で、自分ができないことは、やろうともしないで、できなくてもよし
としたり、うまくいかなくても、やったことがないからできないのは仕方ない
じゃないかと開き直ったりした。


 そう言われてからは、多少気にして、自分にあまくは治らないので、
人にもあまくするようになった気がする。
 但し、自分で仕事をする場合になって、自分にあまいままだと、成長
しないことに気が付いた。本当に自分に厳しい人は、過酷な試練を自ら
に課すのだろうが、軟弱な私はそこまでできないので、外部の資格試験
への合格を目標とすることにした。
 資格試験には合格したが、それを生かすには求められる職場に転職
するのがいいのだが、自分にあまい私はそこまでしなかった。


 多少歳を取ると、自分で何人かの後輩をまとめたり、リーダー的なこと
をまかされるようになったが、そうなるといつでも人にあまいままでは、全体
が回っていかないことに気づかされた。
 さりとて、厳しく接してもうまくいかないので、厳しい仕事は自分が多く
引き受け、残りをアドバイスしながら回していくということにした。
 リーダー的な役割では、それでいいのだが、これが管理職になり、部下
を持つようになると、そう簡単にはいかない。
 プレイイングマネージャーであれば、その延長線のようだが、それで部下
が育つかどうか疑問がある。
 多少のためらいはあっても、部下が自律的に動いて結果を出し、失敗
はあっても許し、自分が責任を引き受けるくらいでないといけないと思った。
 

 転勤のない職場は違うのかもしれないが、転勤して自分が去った時に、
部下が成長してないと、組織としては大きな障害になる。さらに、長い目
で見た時は、いい人間が育つかどうかで、組織全体がよくなるので、部下
の育成は、最重要課題と思っていた。
 部下がどう思っていたかは知らないが、少なくとも上を見て仕事をする
ような人間にはなるまいと思っていた。
 考えようでは、そういうことを言っていると出世が遅れる、考えがあまい
とする人もいるだろう。
 ただ、出世は社会的に地位があがることだけでなく、自分が仕事を通
じて世に出、社会的に役に立つ人間になってこそだと思うところがある。


 結果としてはあまい人生であったとしても、後悔のない人生をおくれる方
がよいと思う。