人生100年時代と言うけれど

 いつの頃からだろうか、人生100年時代と言うようになったのは。
昔は人生80年とか言っていたのが、平均余命が80歳を超えるように
なってからは人生90年かなと思っていたのだが、いつのまにか宣伝で
人生100年時代という言葉を聞くようになった。

 

 おそらく政府の施策もあり、周囲を見回しても100歳になろうと
いう人が増えているせいもあって、何となく人生100年時代なのかな
と思ってしまうが、よく考えてみれば分かるように、80歳代の平均
余命が一気に90歳代になることはないし、100歳になる人が増えた
といっても、皆が100歳になる筈はない。

 人によっては、そんなに長生きしたくないという人もいるだろうし、
健康で生きられればいいが、病気やボケて誰かの世話にならなくては
生きていけないようにはなりなたくないと思うだろう。

 

 人生100年時代のコマーシャルは、資産運用で老後資金を作りな
さいということなのだろうが、年金だけでは心もとないと思う人も多い
と思う。
 退職金が出る人は、退職金を食いつぶしながら、生活できるかもしれ
ないが、65歳で退職しても、100歳だと35年間もあるので、毎年
50万円ずつ食いつぶすとすると、単純計算でも1750万円いる計算
になる。
 従って、退職金を期待できない人は、死ぬまでというかできる限り
働き続けるしかないということになる。
 また、今は話題になっていないが、いずれ欧米並みに、年金支給年齢
の引上げといった話題も出てくるのではないか。

 

 政府は、年金支給年齢の引き上げとか増税の話は、選挙で不利になる
ためらか、ずっと先送りをしてきているが、一方で老後資金に2000
万円必要といった報告書の受け取りを拒否はしたものの、その代案を
提示している訳ではない。

 結局のところ、自分自身で考えて、できる人は老後資金を作り、でき
ない人は、自宅を含めて資産を売却して、それでも無理なら生活保護
頼るしかないということになるのだろうか。

 人生100年時代といっても、良いことばかりではないのは、お金の
面だけでなく、健康なまま100歳まで生きることが本当にできるのか
ということも示してもらえない。

 これも、自助努力でフレイルを予防するしかないといったところだ
ろうか。

 

 こう考えてくると、人生100年時代という言葉には関係なく、それ
ぞれの人に天寿があると思えば、それまでの間を健康的に、また、精神
的に豊かに過ごすということが大事なのではないかと思う。

 お金はなくても、精神的に豊かに暮らすことはできると思うし、愛する
ものがあれば、支えとなって生きていけるような気もする。
 最初から生活保護のような公的支援しかない訳ではないので、自助が
可能なうちは、頑張って生きたいと思う。