広ければいいけれど

今週のお題「お題」

 

 最初に入った独身寮は、4畳半に押し入れとクローゼットがついた
1間だったので、間取りも何もなかった。
 結婚して家族寮に入ることになったが、どこの寮に入るとか選択
の余地はなく、あてがわれたのは昭和39年頃に立った古い建物だった。

 家族は2人だけなのに、3部屋とキッチン、バス、トイレがあるので
間取りがどうこう言うことはなかった。むしろ、設備が古いため、風呂
の換気が悪く、ガス中毒になりそうになった。
 その後、転勤でいくつかの寮で暮らしたが、基本的には同じような作
りなので、間取りがどうこうというよりは、キッチンが狭いとか、風呂
が狭いとか、トイレが洋式でないとかいったことの方が気になった。


 自分で家を借りるなり、家を建てるようになって、始めて間取りを
意識するのかもしれないが、生活時間を多く過ごすリビングとキッチン、
風呂、トイレがメインで、これに家族構成により、個室を割り当てるか
どうかといったことで大まかな間取りが決まってくる。

 但し、ここから先の細かいことになると、それぞれの好みがかなり
出てくると言っていい。
 リビングは、広さとか陽当たりとか、家具をどのように置くかでも
違うし、キッチンは家事動線がいいの悪いのとか、トイレとバスは別に
なっている方がいいとか、バスは広い方がいいとか色々出てくる。


 元々間取りを決定づける大きな要素は、土地の広さや陽当たり、道路
づけがあって、そこにどれだけの床面積の建物を建てるかで変わってく
るのだと思う。
 日本人は、南向きの部屋を好むようだが、欧米は照明も間接照明が
好まれるように、意外と北向きの部屋が好まれるようだ。
 北向きの部屋は明るさが安定しているため、画家のような色使いに
繊細な人に好まれるようだし、昔、真珠の鑑定をする部屋は北向きに窓
がある部屋でないといけないと聞いて、なるほどと思ったことがある。


 部屋の広さも、広ければいいという訳でもないだろうが、マンション
のリフォームを見ると、壁を抜いて広いリビングを作っている例が多い
のは、開放感があるのと家具などを自由に配置できるからだろう。
 個人的には書斎的な部屋があるのが理想で、そこは広くなくても落ち
着ける空間があると、在宅勤務も捗るのではないかと思う。


 自分の家だけでなく他人のお宅に伺って見て思うのは、間取りをどう
のこうの言うには、ある程度の広さがあってのことかなと。
 猫の額のような我が家では、間取りは妥協の産物でしかなく、後は
やや快適な設備で、狭さや不便さをカバーするしかないのかなと思って
しまう。
 理想を求めれば、転居や建て替えが必要なのだろうが、先立つものも
無いので、野外や旅行へ出て過ごすことでストレスを解消するのが一番
ということになる。