参議院選挙に思う

 

 参議院選挙が公示されて、選挙戦が始まった。街中で
宣伝カーが走り回って、うるさくなった感じはするもの
の、衆議院選挙ほどの熱気は感じられない。

 これは、参議院議員の改選数が少ないのと、選挙区が
広いため、あまり馴染みがない候補が多いせいではない
かと思う。
 例によって、タレントなど知名度の高い候補もいるの
だが、私自身はそういった候補には関心がない。
 ただ、前回は知人から勧められた候補に、あまり深く
考えもなく投票したのだが、当選したその候補とは6年
間ほとんど接点がないままだった。
 そういう反省も踏まえて、今回はもう少し考えて投票
しようかと思っている。


 前回の参議院選挙では、合区が問題になったのだが、
今回はそれほど大きな問題になってないようだ。
 次回の衆議院選挙で10増10減が想定されているた
め、それに比べれば影響が小さいということだろうか。
 もっとも、事前に調査したところでは、今回の選挙の
1票の格差は3倍以上になるということなので、選挙後
にまた問題化するかもしれない。

 某代議士が、米国の上院のように1県2名ずつ選出す
ればいいではないかと言っていたようだが、米国の州と
日本の県は全く異なり、州独自に3権分立がされている
自治組織があっての合衆国という位置づけのため、上院
議員が州の代表ということでもいいかと思う。

 日本のような組織なら、地方区なしで全て全国区でも
いいのではないかと思うのだが、国会議員は地方の利益
代表という意識が強いし、選ぶのも大変だと思っている
のではないだろうか。


 参議院は、かつては良識の府と言われて、それなりに
見識がある人が多くいると見られていたのだが、前回の
選挙で、党利党略で定数増を図ったのをみて、これはダ
メだと思った。
 衆議院でもそうだが、結局、国会議員とは何なのかと
いう本質的な議論をしないで、やれ憲法改正だとか、防
衛費を2%にするべきだとか言っているようでは、日本
の進路を誤ってしまうのではないか。
 失われた30年というのも、結局、そういった政治意
識の低さ、議員のレベルの低さが一つの原因になってい
ると思う。


 参議院は、衆議院より政党選択的な要素が強いかもし
れないが、今回の各党の政策を見ても、結局のところは
過去の延長から抜け出せていない感がする。
 良さそうなことは言うが、一方で抱える問題について
の具体策は提示しない。
 例えば、消費税を下げるにしても、防衛費を上げるに
しても、財源はどうするかと言えば、国債発行しかない
のだが、現状の国債残高をどうするのかという具体策が
ないままに来ている。

 政府と日銀は一体なので、いくら発行していいという
輩もいれば、政府が潰れることはないので国債は心配な
いというようなことを言っているようでは、国債の残高
は膨らむばかりだろう。
 結局、日銀が実質的に引き受けて、金利を低く維持し
ていかないと、財政が破綻しかねないのに、どうするつ
もりなのだろう。

 
 国債をもっと発行して、財政支出を膨大にすれば、一
気に景気が拡大して税収も増えてうまくいくという人も
いるが、政府支出の非効率性は、コロナの補助金を見て
もわかるのではないか。
 財政支出で景気をコントロールするというならば、政
府に強い権限を持たせて、計画経済化するようでなけれ
ばうまくいかないだろうが、日本は中国ではない。
 
 財政支出を膨らませるのであれば、独立した機関で支
出に対するチェックや監査を厳しくすると共に、効率化
を図らないといけないと思うのだが、そういったことに
まともに向き合う政党がないと思う。

 
 結局、今回の選挙もモヤモヤしたまま投票を行うこと
になりそうだ。