東京都の新型コロナ感染者の拡大が止まらない。東京都の
モニタリング会議は、制御不能な状況が続いていると言うが
何となく違和感がある。
確かに一見すると高水準の感染者の発生があるため、制御
不能という風に見えるが、よく考えてみると本当に制御しよう
としていたのだろうかと思えるからだ。
これは、何も東京都だけでなく、政府や他の自治体にも言
えることだが、緊急事態宣言やまん延防止措置といったもの
で、制御できると考えていたのだとすれば、認識が間違って
いるのではないか。
実績が証明するように、東京都は緊急事態宣言を出したに
もかかわらず、オリンピックの開催を強行したことで、開催
期間中から感染者が急激に増加している。
因果関係がないと言うが、オリンピック期間前後を通じて
特別な感染対策を取った訳でもなく、感染状況を見ながら、
人々の行動抑制を強く訴えた訳でもないので、感染拡大抑止
に注力しなかった結果が出ていると言ってもおかしくない。
政府も、東京都もモニタリング項目がありながら、数値が
悪化した場合に、どのようなアクションを取るという計画を
持っていないのではないか。
緊急事態宣言を総合的に判断して出すという、半ば恣意的
なものにしているため、個別のステージに対する評価と対応
も明確になっていないため、今回のように感染が拡大してから
後手後手で対応しているように見える。
悪化した状態で緊急事態宣言の県追加をしても、特別な措置
が追加される訳ではないので、何も考えていないという風に
取られても仕方あるまい。
医療体制の強化、感染防止、ワクチン接種という３本柱で
対応していくというが、相変わらず現状認識と対策、今後の
見通しといった基本的な事項が具体的に述べられる訳ではなく
やっていきますといった説明では、誰にも納得感はない。
さらに、ロックダウンについては決め手にならないという
答えは、ならば今の自粛要請やリモートワークへの要請が決め
手になるのかという疑問を持たせるし、ニュージーランドの
ように実施している国をどう見ているのかとも思わせる。
ワクチン接種の加速を決め手のように言うが、根拠を示す
でもない。
ワクチン接種の効果を否定する訳ではないが、いつまでに
誰を対象にすることで、こうなるという説明もなければ、それ
まではどのように対応するのかという説明もない。
現状を踏まえれば、新規感染者の減少、抑制をしないと、
一定数の人が重症化するため、医療が崩壊することは避けられ
ない。
それ故にロックダウンとは言わないが、強力な規制をかけて
もらいたいという専門家や自治体の意見が出るのもわかる。
確かにロックダウンは、法的な問題があるため、直ぐには
進まないという面はあるが、検討する時間は十分あった筈なの
で、これまで何をやってきたのかという説明もなく、これから
検討するような回答をするのは問題だと思う。
現状の感染拡大レベルは、デルタ株の影響もあって、尋常
ではないため、ロックダウンとは言わなくても、かなり強力
に人と人の接触を抑えていかないと収束できないと思う。
さらに、欧米の例では、ワクチン接種後の感染が拡大して
おり、重症化予防効果はあっても、感染予防効果は限定的で
あると見られることから、感染予防をより真剣に考える必要
があると言える。
基本的な行動は、マスク、手洗い、３密防止といったこと
だと専門家は言うが、それ以外に検査と隔離といった基本も
ある。
現在の陽性率を見ると、検査数が不足しているのは間違ない
と思われるが、検査数の拡大に関する取り組みはあまり聞こ
えてこない。
個別の自治体で、帰省客に対する検査をしたりしているが
検査はやみくもにやっても意味がない。
検査をするのであれば、対象を明確にして、悉皆的に行い
さらに、検査の前後の行動管理を付けないと意味がないと
思うが、そういった視点が欠けている。
中国やオリンピックのバブルの例を見ればわかるように、
特定のエリアを区切って、中にいる人間および中に入る人間
全員の検査を頻繁に行っていくことが、一つの対策である。
これにワクチン接種を行うことで、効果がより高くなる。
制御不能と言う前に、できる範囲でできることをする必要
があって、リモートワークもいいが、リモートワークできない
企業には、検査とワクチン接種を行い、従業員の行動管理を
するように求めるのがいいと思う。
従業員の行動管理というと大げさだが、スマートホンに
２週間分の行動履歴が記録できるようにして、感染が発覚した
場合に、従業員の立ち寄り先がわかるようにすることで、消毒
や感染防止の協力依頼を具体的に行える。また、保健所は疫学
調査の負荷が減り、ビッグデータの解析で、感染リスクの高い
場所を特定できることになる。
ロックダウンができないのであれば、せめてこれ位の事は
やってもらいたいものだ。
